コンクリート壁面用吸水防止材とは?|打ちっぱなし・モルタル壁をキレイに長持ちさせるための徹底ガイド

コンクリート壁面用吸水防止材とは?|打ちっぱなし・モルタル壁をキレイに長持ちさせるための徹底ガイド
目 次

    「コンクリートの外壁は丈夫だから何もしなくていい」と思われがちですが、実際には コンクリートは“水を吸い込む素材” のため、放置すると劣化が早く、ひび割れ・雨だれ汚れ・黒カビの繁殖など多くの問題が発生します。

    こうしたコンクリートの弱点を補い、見た目を変えずに寿命を延ばすために使われるのが 「吸水防止材(浸透型防水材)」 です。

    本記事では、吸水防止材の仕組みから効果、種類、施工方法、注意点、Q&Aまで、お客様にもプロにも分かりやすく解説します。

    目次

    第1章 コンクリートは“吸水する素材”

    まず知っておくべき重要な事実は、コンクリートは水に強いが「水を吸う」という点です。

    コンクリートは無数の毛細管(細かい穴)で構成されており、スポンジのように水を吸い込みます。

    ● コンクリートが吸水すると起きる問題

    1. 黒ずみ汚れ・雨だれ跡が出る
    2. カビ・藻・コケが発生しやすくなる
    3. 凍害(冬にひび割れ)を起こす
    4. 中性化が進み鉄筋が錆びる
    5. 表面が風化してザラザラになる
    6. 白華現象(エフロ)が起きる

    これらの症状は、一度進行すると元に戻すのが辛く、高額な補修が必要になることがあります。

    第2章 吸水防止材とは何か?

    吸水防止材とは、コンクリート内部に浸透して“水を吸い込まない状態”をつくる透明の防水材のことです。

    特徴は以下のとおり。

    【吸水防止材の特徴まとめ】

    ✔ 見た目は透明(ほぼ変化なし)
    ✔ 膜をつくらず素材の内部に浸透
    ✔ 撥水性(水をはじく性質)を付与
    ✔ 剥がれにくく長持ち
    ✔ 汚れ・雨だれ・劣化を抑える
    ✔ 塗装とは違う「含浸型の防水材」

    塗膜で覆う“塗料”とは違い、コンクリート内部に入り込んで保護するのが特長です。

    第3章 吸水防止材の仕組みを徹底解説

    吸水防止材はなぜ効果があるのか?そのカギは「浸透」と「撥水」です。

    ■ ① 素材内部に浸透して吸水をブロック

    吸水防止材にはシラン・シロキサン・シリコーンなどの成分が含まれています。

    これらがコンクリート内部の毛細管に入り込み、水が入りこむ通路をふさぐように作用します。

    → 結果
    雨水を吸収しにくくなり、黒ずみ・劣化を抑える。

    ■ ② 表面に撥水性を与えて水を弾く

    施工後のコンクリート表面は水滴が玉状になって転がるようになります。これは「撥水性(はっすいせい)」が高まった証拠。撥水は汚れの固着を防ぐ役割もあります。

    ■ ③ 通気性は残る(呼吸する壁)

    吸水防止材は“完全に膜を作るわけではない”ため、

    ● 内部の水蒸気が抜ける
    ● 外部の水は吸い込まない

    という理想的な状態になります。

    塗装のように“表面の膜が剥がれる”というトラブルが起きにくいのも利点。

    第4章 吸水防止材を使用するメリット

    吸水防止材を使うことで得られる具体的なメリットを、分かりやすく解説します。

    ■ メリット① 雨だれ・黒ずみ汚れを大幅に抑える

    コンクリートは水を吸うため、雨が降るたびに汚れを吸い込みやすい素材です。

    吸水防止材を塗布すると、

    ● 表面に水が残らない
    ● 汚れが浸透しない
    ● 黒ずみの固着を防ぐ
    ● 乾燥が早い

    その結果、雨だれ跡や黒カビ汚れの発生が大幅に減少します。

    ■ メリット② コンクリートの劣化を遅らせる

    コンクリートの劣化の大きな原因は「吸水による内部劣化」。

    吸水防止材により

    ● 中性化(鉄筋が錆びる現象)を抑制
    ● 凍害(冬のひび割れ)を防ぐ
    ● 表面の風化を防止

    建物全体の寿命延長につながります。

    ■ メリット③ 見た目を変えずに保護できる

    「コンクリートの質感は残したい」
    「打ちっぱなしの雰囲気はそのままが良い」

    そんな方に最適です。

    吸水防止材は透明であるため、

    ✔ 色を変えたくない
    ✔ 自然な質感を保ちたい
    ✔ モルタルの素材感を残したい

    という要望に応えながら“保護性能だけ強化”できます。

    ■ メリット④ 剥がれにくく長持ち

    吸水防止材は“内部に浸透するタイプ”なので、塗料のように

    × 膜が浮く
    × 剥がれる
    × ひび割れる

    というトラブルが非常に少ないです。

    ■ メリット⑤ カビ・藻・コケを防ぐ

    吸水が減ることで、カビ・藻・コケの繁殖がしにくい環境になります。

    特に北側のコンクリート壁では効果絶大。

    ■ メリット⑥ 施工費が安く済む

    吸水防止材は、塗装よりも材料費が安く、施工も早いため

    ◎ 外壁塗装より安い
    ◎ 大規模補修よりもリーズナブル

    コンクリートのメンテナンスとして非常に経済的です。

    第5章 吸水防止材の種類と特徴

    吸水防止材の代表的な種類を詳しく解説します。

    ■ ① シラン系吸水防止材(最も一般的)

    シランは非常に細かい分子で、
    コンクリート内部に深く浸透するのが特徴。

    ✔ 浸透性が高い
    ✔ 透明性が高い
    ✔ 防水効果が長続き
    ✔ コンクリートとの相性が良い

    外壁・塀・擁壁などに最も使用されます。

    ■ ② シロキサン系(シランより表面保護力が強い)

    ● 表面の撥水力が特に強い
    ● 水滴が転がりやすい
    ● 美観維持に優れる

    雨だれ・黒ずみ対策に優れています。

    ■ ③ シリコーン系(高撥水タイプ)

    ● 強い撥水性
    ● 汚れ防止効果が高い
    ● 若干の光沢が出る場合がある

    表面の汚れが気になる商業施設・店舗で多く使われます。

    ■ ④ シラン・シロキサン複合系(ハイブリッド)

    浸透力(シラン)+撥水力(シロキサン)の“良いとこ取り”の吸水防止材。

    近年増えているタイプです。

    第6章 吸水防止材のデメリット・注意点

    メリットが多い吸水防止材ですが、誤解のないよう、注意点も丁寧に説明します。

    ■ 注意点① 色付きにはできない

    透明のため「色を変えたい」場合は塗装を選びます。

    ■ 注意点② 劣化が激しい場合は補修が必須

    ● 大きなひび割れ
    ● 鉄筋露出
    ● 表面の欠落

    これらは吸水防止材では改善できません。

    ■ 注意点③ 完全防水ではない

    吸水を防ぐ材料であり、
    “雨漏りを止める”ための材料ではありません。

    ■ 注意点④ 劣化がひどい壁は吸い込みが多く材料が増える

    浸透系なので劣化が激しい壁は使用量が増加します。

    ■ 注意点⑤ 部分的に濡れ色になる場合がある

    製品によっては光沢が増す場合があります。

    第7章 適用場所(どんな場所に有効?)

    吸水防止材はコンクリート全般に使えます。

    ■ 外壁(打ちっぱなしコンクリート)

    最も代表的な施工場所。雨だれ汚れや中性化を大幅に防止。

    ■ 塀・擁壁・境界壁

    汚れ・黒ずみ・雨跡に強くなります。

    ■ モルタル壁

    吸い込みが激しいため、効果は大きい。

    ■ 外階段・外廊下

    滑りにくく、黒ずみも抑えられます。

    ■ コンクリート土間

    玄関土間やカーポート下は汚れがつきやすく、吸水防止材が有効です。

    第8章 耐久年数と再施工の目安

    吸水防止材の耐久年数は5〜10年気候によって差があります。

    長持ちする環境

    ● 日陰
    ● 屋根の軒下
    ● 汚れが少ない場所

    劣化が早い環境

    ● 海沿い(塩害)
    ● 直射日光が強い
    ● 雨が激しく当たる面
    ● 車の往来がある床面

    第9章 施工工程(プロが行う作業)

    吸水防止材の効果を最大に引き出すためには、正しい施工工程が必須です。

    ① 洗浄

    高圧洗浄で
    ● 汚れ
    ● コケ
    ● カビ
    ● 旧汚れの固着
    をしっかり除去。

    ② 下地補修

    ひび割れ・欠けを補修。ここを怠ると後々の劣化が早くなります。

    ③ 乾燥

    コンクリート内部の水分を十分に飛ばす。

    ④ 吸水防止材の塗布(1〜2回)

    ローラー・刷毛・噴霧で施工します。

    ⑤ 乾燥

    24時間程度で完全乾燥。

    第10章 費用相場

    一般的な相場は…

    1㎡あたり 1,000〜2,500円前後

    打ちっぱなし外壁(100㎡)なら10万〜25万円程度。

    塗装よりも低コストで施工できます。

    第11章 コンクリート壁と塗装の比較

    吸水防止材と塗装は目的が異なります。

    項目吸水防止材塗装
    見た目変わらない(透明)色が変わる
    防水
    剥がれほぼ無し経年で発生
    汚れ防止○〜◎
    費用安い中〜高
    耐久5〜10年8〜15年
    メンテ性

    第12章 吸水防止材のQ&A(15問)


    Q1. 本当に透明ですか?

    A:はい。ほとんど見た目は変わりません。


    Q2. 打ちっぱなしコンクリートに最適?

    A:もっとも効果的な建材のひとつです。


    Q3. 雨漏りは止まりますか?

    A:吸水防止材は雨漏り補修材ではありません。


    Q4. 黒ずみ汚れを完全に防げますか?

    A:完全ではありませんが大幅に軽減します。


    Q5. 何年ごとに塗り直す?

    A:5〜10年程度が目安です。


    Q6. 色が濃くなることはありますか?

    A:製品により“濡れ色”になる場合があります。


    Q7. 塗装との併用は可能?

    A:はい。部分的に吸水防止材を使うこともできます。


    Q8. コンクリート以外にも使える?

    A:モルタル・レンガに使える商品もあります。


    Q9. DIYでもできますか?

    A:可能ですが、プロ施工のほうが均一に仕上がります。


    Q10. 汚れがつきにくくなる?

    A:水を弾くため、汚れが固着しにくくなります。


    Q11. 海沿いの家でも効果ある?

    A:塩害対策として非常に有効です。


    Q12. 施工後はどのくらいで乾きますか?

    A:歩行は数時間、完全乾燥は1日程度です。


    Q13. 下地補修が必要な場合は?

    A:ひび割れ補修後に吸水防止材を塗布します。


    Q14. 光沢が出る?

    A:製品によっては少し光沢が出るタイプもあります。


    Q15. コンクリートを長持ちさせる効果は?

    A:中性化・凍害などの劣化を抑制します。


    【まとめ】

    コンクリートは見た目の強さとは裏腹に、「吸水による劣化」が非常に多い素材です。

    吸水防止材はその弱点を補い、

    ✔ 雨だれ・黒ずみを防ぐ
    ✔ カビ・藻を抑える
    ✔ 劣化を遅らせる
    ✔ 見た目を変えない
    ✔ コストが安い
    ✔ 剥がれにくい

    という多くのメリットをもたらす“理想の保護材”です。

    打ちっぱなしコンクリート・塀・擁壁・外階段・外廊下など多くの建物で採用され、建物の寿命延長や美観維持に大きな役割を果たします。

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