フッ素塗料のメリット・デメリットを解説!|外壁塗装で後悔しないための選び方
「フッ素が良いって聞くけど、本当にそんなに違うの?」
「高い塗料を選んで後悔したくない」
「シリコンと何がどう違うの?」
そんなお悩みをお持ちの方へ、フッ素塗料の外壁塗装について、詳しくご紹介します!(^^)!
1章 フッ素塗料とは?まずは基本から整理
フッ素塗料とは、フッ素樹脂(フッ素系樹脂)を主成分とした、非常に耐久性・耐候性に優れた高性能塗料のことです。身近なところでは、
・フッ素樹脂加工のフライパン
・フッ素コーティングされた建築部材
・橋梁や高速道路の鉄骨
・大型ビル・タワーマンションの外装
など、「長期間メンテナンスしにくい場所」や「厳しい環境にさらされる構造物」に多く使われています。
外壁塗装の世界では、アクリル < ウレタン < シリコン < ラジカル < フッ素 < 無機というグレードの中で、フッ素は「上から2番目の高グレード塗料」という位置づけです。
ポイントは、
・とにかく長持ち
・紫外線に強い
・汚れにくい
・ツヤが長く続く
という“耐久性”と“美観維持力”の高さです。「できるだけ塗り替え回数を減らしたい」「長く住む予定の家だから、しっかりした塗装をしたい」というお客様に、とてもマッチしやすい塗料です。
2章 フッ素塗料の耐久性と寿命のイメージ
外壁塗装でよく使われる塗料と、おおよその耐久年数を並べると、こんなイメージになります。
・アクリル → 5〜7年
・ウレタン → 7〜10年
・シリコン → 10〜13年
・ラジカル → 12〜15年
・フッ素 → 15〜20年
・無機 → 18〜25年
もちろん、
・立地条件(海沿い・日当たり・雨風)
・下地の状態
・施工品質
によって変動しますが、
「シリコンの1.5倍くらいは長持ちする」というイメージでお客様にお伝えすると、感覚的にも分かりやすくなります。塗り替えサイクルで見てみると、
・シリコン → 10〜13年ごとに塗装
・フッ素 → 15〜20年ごとに塗装
つまり同じ期間で考えると、フッ素の方が塗り替え回数を減らせる可能性が高くなります。
3章 フッ素塗料のメリット
まずはフッ素塗料の「良いところ」から整理します。外壁塗装の提案時にも、そのまま使える表現でまとめています。
メリット① とにかく長持ちする
フッ素塗料の一番の魅力は、やはり「耐久性」です。
・紫外線に強い
・雨・風・熱に強い
・塗膜が劣化しにくい
という特性があり、シリコンに比べて約1.5倍ほど長く持つケースも少なくありません。
メリット② ツヤ・美観が長期間続きやすい
フッ素塗料は、
・ツヤの持ちが良い
・色あせしにくい
・雨筋汚れになりにくい
といった、美観面でのメリットも大きい塗料です。新築時のようなツヤ感を長く保ちたい方、外観の印象をきれいに保ちたい方には、非常に相性の良い塗料です。
・道路沿いで外観が目立つ
・店舗併用住宅で見た目が大事
・中古住宅を購入してきれいに見せたい
こういった場面でもおすすめしやすいグレードです。
メリット③ 汚れにくく、雨で汚れが流れやすい
多くのフッ素塗料は「低汚染性」と呼ばれる性能を持っています。
・表面がツルッとしていて、汚れが付きにくい
・雨が降ると一緒に汚れが流れ落ちやすい
このため、
・外壁が黒ずんでくるスピードが遅い
・コケ・カビなどが付きにくい商品もある
という利点があります。
「白い外壁にしたいけど汚れが怖い」
「道路沿いで排気ガスの汚れが気になる」
といったお客様にも好相性です。
メリット④ 屋根にも相性が良い(特に日差しの強い地域)
屋根は外壁の2〜3倍の紫外線を浴びると言われています。そのため、外壁以上に「強い塗料を使うメリット」が大きい場所です。
・外壁はシリコン
・屋根はフッ素
メリット⑤ 長い目で見ると“トータルコスト”が下がるケースも
初期費用だけを見ると、フッ素塗料はシリコンやラジカルより高くなります。
しかし、10年・20年スパンで見ると、
・塗り替え回数が減る
・足場代を払う回数が減る
というポイントも重要です。ざっくりとしたイメージですが、
・シリコン → 30年で塗替え2〜3回
・フッ素 → 30年で塗替え1〜2回
4章 フッ素塗料のデメリット
フッ素塗料は非常に優秀な塗料ですが、当然ながら「万能」というわけではありません。
注意点① 初期費用が高め
一番分かりやすいデメリットは「金額」です。同じ家・同じ面積を塗る場合、
・シリコンより高い
・ラジカルより高い
・無機よりは少し安い〜同程度
という位置づけになります。ただし、先ほどお伝えしたように、
・塗り替え回数が減る
・足場代を支払う回数が減る
注意点② 外壁の種類によっては“オーバースペック”になることも
フッ素塗料は耐久性の高い塗料ですが、どんな家にも必ずフッ素がベスト、というわけではありません。
例えば、
・今後10年以内に建て替え予定
・相続や売却の可能性が高い
・元々の下地がかなり傷んでいる
といったケースでは、ラジカル系やシリコン系で十分、という判断になることもあります。
「お住まいの計画(あと何年住むか)」
「建物の状態」
を踏まえたうえで、本当にフッ素が合っているかどうかを一緒に考えることが大切です。
注意点③ 下地が傷んでいる場合、塗料のグレードだけではカバーできない
・外壁そのものにひび割れが多い
・サイディングの反りがひどい
・モルタルの浮きがある
・前回塗装の不具合が大きい
こういった場合、どれだけ良い塗料を使っても、「下地の問題」までは解決できません。
注意点④ 職人の技術・施工管理がより重要になる
フッ素塗料は高性能な分、
・メーカー仕様書通りの乾燥時間
・適切な塗布量
・下塗りとの相性
・天候条件の管理
など、施工の品質管理が求められます。塗料が高級なぶん、「きちんとした職人・管理体制で施工すること」が非常に大切です。
5章 他の塗料とどう違う?フッ素塗料の比較イメージ
お客様からよくいただくのが、
「結局、シリコンと何がどれくらい違うの?」
「無機とフッ素でどちらにするか迷う」
という声です。
ざっくり比較表にすると、次のようなイメージになります。
※一般的な目安のイメージです
- シリコン塗料との比較
・耐久 → フッ素の方が長い
・価格 → フッ素の方が高い
・コスパ → 長期で見るとフッ素も十分
・おすすめ → 予算を抑えたいならシリコン
長く住む予定ならフッ素も検討
- ラジカル制御型塗料との比較
・耐久 → フッ素がやや上
・価格 → ラジカルが少し安い〜中程度
・バランス → ラジカルはコスパ重視向き
ワンランク上の安心感ならフッ素
- 無機塗料との比較
・耐久 → 無機がさらに上のイメージ
・価格 → 無機の方が高いことが多い
・柔軟性・扱いやすさ → フッ素の方が施工しやすいケースも
・おすすめ → とにかく最上級を求めるなら無機
高性能とコストのバランスならフッ素
6章 フッ素塗料が向いているケース・向いていないケース
フッ素塗料が特におすすめしやすいケース、逆に、あえて他のグレードを提案した方が良いケースを整理します。
フッ素塗料が向いているケース
・今の家に長く住む予定がある
・メンテナンスの手間や回数を減らしたい
・外観の美しさをできるだけ長く保ちたい
・海沿い・日当たりが強いなど、劣化が早い環境
・将来の塗り替えコストを抑えたい
・屋根だけでも耐久性を高めたい
・二世帯住宅など、次世代も住む予定がある
あえて別グレードも検討した方がよいケース
・築古で、今後10年以内に建て替えや売却予定
・元々の下地がかなり傷んでおり、補修がメインになる
・予算重視で、今回はとりあえずきれいにしたいだけ
・外壁ではなく、とりあえず屋根だけ最低限…という状態
このような場合は、ラジカル制御塗料やシリコン塗料を選ぶ方が全体バランスとして良いこともあります。
お客様にとって大切なのは、
「自分の家の状況」
「これから何年住むのか」
「どこまでのグレードを求めるのか」
この3つのバランスです。
7章 外壁塗装で後悔しないためのフッ素塗料の選び方
ここからは、実際にフッ素塗料を選ぶときのポイントを分かりやすく整理していきます。
ポイント① 家の“今後の計画”から逆算して決める
・あと5年しか住まない家
・あと20年以上住む家
では、選ぶべき塗料が変わってきます。
フッ素塗料は
「あと15年以上は住むつもり」
「子ども世帯まで引き継ぐかもしれない」
というお客様に、特におすすめしやすいグレードです。
逆に、
「5〜10年ほど持てば十分」という方には、ラジカルやシリコンでも十分、というケースが多いです。
ポイント② 外壁と屋根の“バランス”で考える
外壁と屋根を同じグレードに揃える必要はありません。
・外壁はラジカル、屋根はフッ素
・外壁はシリコン、屋根だけフッ素や無機
・外壁・屋根ともにフッ素でしっかり長持ち
など、組み合わせで調整することも可能です。
屋根は特にダメージが大きいため、「屋根だけフッ素にして耐久性を高める」という提案は、コストを抑えながら効果を出したい場合に有効です。
ポイント③ 塗料の名前だけで判断しない
同じ「フッ素」と名が付いていても、メーカーや商品によって性能はさまざまです。
・フッ素+ラジカル制御のハイブリッド
・低汚染機能が強いタイプ
・防カビ・防藻性能が高いタイプ
・遮熱機能付きタイプ
など、機能面の違いも多く存在します。
「フッ素だから全部同じ」ではなく、家の立地やお悩みに合わせて選べるとベストです。
ポイント④ 施工実績とセットで検討する
フッ素塗料のような高グレード塗料を選ぶときほど、「誰がどう塗るか」が重要になってきます。
・使用する下塗り材は何か
・塗布量はどのくらいか
・乾燥時間の管理はどうしているか
・過去の施工実績があるか
こういった点を一緒に確認しながら、塗料だけでなく「施工品質」も含めて選ぶのがおすすめです。
8章 フッ素塗料に関するよくある質問Q&A
最後に、お客様からよくいただく質問をQ&A形式でまとめておきます。
Q1. フッ素塗料は本当にそんなに長持ちしますか?
A. 立地や下地の状態、施工品質にもよりますが、適切に施工されたフッ素塗料は、シリコン塗料より長く持つケースがほとんどです。ただし、どんな家でも20年絶対に持つという意味ではなく、
・環境条件
・下地状態
・塗り方
によって前後する、という点は正直にお伝えしておくと安心です。
Q2. 無機塗料とどちらが良いですか?
A. どちらも上位グレードですが、それぞれに特徴があります。
・より最高クラスの耐久性 → 無機塗料
・高性能+コストのバランス → フッ素塗料
というイメージでお考えいただくと分かりやすいです。
Q3. フッ素塗料にするメリットが少ないケースはありますか?
A. あります。
・近いうちに建て替え・売却予定がある
・下地がかなり傷んでいて、補修がメインになる
といった場合は、フッ素よりもラジカルやシリコンで十分、ということもあります。
Q4. フッ素にすると、次の塗装のときに困ることはありますか?
A. 基本的には問題ありません。
ただし、次回の塗装時も、下塗りの選定や塗料の相性をきちんと考えて施工する必要があります。
信頼できる塗装店に依頼していただくことが重要です。
Q5. すべてのメーカーのフッ素塗料が同じ性能ですか?
A. 同じではありません。
・樹脂のグレード
・添加剤の違い
・ラジカル制御や低汚染性の有無
・遮熱機能の有無
などによって、性能に差があります。「どのメーカー・どの商品を使うか」までしっかり提案してくれる会社を選ぶと安心です。
Q6. フッ素塗料はツヤ消しにできますか?
A. 商品によりますが、ツヤありのみのフッ素もあれば、3分ツヤ・5分ツヤなどを選べるものもあります。
落ち着いた仕上がりをご希望の場合は、ツヤ感も含めて相談されると良いです。
Q7. フッ素塗料にすると、汚れは全く付かなくなりますか?
A. 「全く付かない」というわけではありません。
ただし、シリコンなどに比べて汚れが付きにくく、雨で流れ落ちやすい塗料が多いのは事実です。立地条件にも左右されますので、「汚れにくく、汚れが落ちやすい塗料」というイメージでお考えください。
Q8. 部分補修だけフッ素にしても大丈夫ですか?
A. 基本的には、同じ面・同じ外壁は同じ塗料で統一するのが理想です。
部分だけ違うグレードにすると、経年変化の仕方に差が出てしまうことがあります。
9章 まとめ|フッ素塗料で後悔しないために大事な3つのポイント
最後に、
「フッ素塗料を選んで良かった」と思っていただくための大事なポイントを3つにまとめます。
① 家の“これから”を考えてグレードを決める
→ どれくらいの期間住むのか
→ 将来のメンテナンス計画をどうしたいのか
② 外壁だけでなく、屋根も含めてバランスを見る
→ 屋根だけフッ素にする選択肢もあり
→ 外壁・屋根・予算のバランスを一緒に検討
③ 塗料だけでなく「誰がどう塗るか」も重視する
→ フッ素は特に施工品質が重要
→ 下地処理・下塗り・乾燥時間など、工事全体の品質管理が大切
フッ素塗料は、「少し良いものを選んで、できるだけ長く安心したい」というお客様にとって、とても心強い選択肢です。
お住まいの状態や今後の暮らし方に合わせて、シリコン・ラジカル・フッ素・無機などの選択肢の中から、一番ちょうど良いグレードを一緒に決めていけると理想的ですね。