コンクリート壁面用吸水防止材とは?|打ちっぱなし・モルタル壁をキレイに長持ちさせるための徹底ガイド
「コンクリートの外壁は丈夫だから何もしなくていい」と思われがちですが、実際には コンクリートは“水を吸い込む素材” のため、放置すると劣化が早く、ひび割れ・雨だれ汚れ・黒カビの繁殖など多くの問題が発生します。
こうしたコンクリートの弱点を補い、見た目を変えずに寿命を延ばすために使われるのが 「吸水防止材(浸透型防水材)」 です。
本記事では、吸水防止材の仕組みから効果、種類、施工方法、注意点、Q&Aまで、お客様にもプロにも分かりやすく解説します。
- 1. 第1章 コンクリートは“吸水する素材”
- 2. 第2章 吸水防止材とは何か?
- 3. 第3章 吸水防止材の仕組みを徹底解説
- 4. 第4章 吸水防止材を使用するメリット
- 5. 第5章 吸水防止材の種類と特徴
- 6. 第6章 吸水防止材のデメリット・注意点
- 7. 第7章 適用場所(どんな場所に有効?)
- 8. 第8章 耐久年数と再施工の目安
- 9. 第9章 施工工程(プロが行う作業)
- 10. 第10章 費用相場
- 11. 第11章 コンクリート壁と塗装の比較
- 12. 第12章 吸水防止材のQ&A(15問)
- 12.0.1. Q1. 本当に透明ですか?
- 12.0.2. Q2. 打ちっぱなしコンクリートに最適?
- 12.0.3. Q3. 雨漏りは止まりますか?
- 12.0.4. Q4. 黒ずみ汚れを完全に防げますか?
- 12.0.5. Q5. 何年ごとに塗り直す?
- 12.0.6. Q6. 色が濃くなることはありますか?
- 12.0.7. Q7. 塗装との併用は可能?
- 12.0.8. Q8. コンクリート以外にも使える?
- 12.0.9. Q9. DIYでもできますか?
- 12.0.10. Q10. 汚れがつきにくくなる?
- 12.0.11. Q11. 海沿いの家でも効果ある?
- 12.0.12. Q12. 施工後はどのくらいで乾きますか?
- 12.0.13. Q13. 下地補修が必要な場合は?
- 12.0.14. Q14. 光沢が出る?
- 12.0.15. Q15. コンクリートを長持ちさせる効果は?
- 13. 【まとめ】
第1章 コンクリートは“吸水する素材”
まず知っておくべき重要な事実は、コンクリートは水に強いが「水を吸う」という点です。
コンクリートは無数の毛細管(細かい穴)で構成されており、スポンジのように水を吸い込みます。
● コンクリートが吸水すると起きる問題
- 黒ずみ汚れ・雨だれ跡が出る
- カビ・藻・コケが発生しやすくなる
- 凍害(冬にひび割れ)を起こす
- 中性化が進み鉄筋が錆びる
- 表面が風化してザラザラになる
- 白華現象(エフロ)が起きる
これらの症状は、一度進行すると元に戻すのが辛く、高額な補修が必要になることがあります。
第2章 吸水防止材とは何か?
吸水防止材とは、コンクリート内部に浸透して“水を吸い込まない状態”をつくる透明の防水材のことです。
特徴は以下のとおり。
【吸水防止材の特徴まとめ】
✔ 見た目は透明(ほぼ変化なし)
✔ 膜をつくらず素材の内部に浸透
✔ 撥水性(水をはじく性質)を付与
✔ 剥がれにくく長持ち
✔ 汚れ・雨だれ・劣化を抑える
✔ 塗装とは違う「含浸型の防水材」
塗膜で覆う“塗料”とは違い、コンクリート内部に入り込んで保護するのが特長です。
第3章 吸水防止材の仕組みを徹底解説
吸水防止材はなぜ効果があるのか?そのカギは「浸透」と「撥水」です。
■ ① 素材内部に浸透して吸水をブロック
吸水防止材にはシラン・シロキサン・シリコーンなどの成分が含まれています。
これらがコンクリート内部の毛細管に入り込み、水が入りこむ通路をふさぐように作用します。
→ 結果
雨水を吸収しにくくなり、黒ずみ・劣化を抑える。
■ ② 表面に撥水性を与えて水を弾く
施工後のコンクリート表面は水滴が玉状になって転がるようになります。これは「撥水性(はっすいせい)」が高まった証拠。撥水は汚れの固着を防ぐ役割もあります。
■ ③ 通気性は残る(呼吸する壁)
吸水防止材は“完全に膜を作るわけではない”ため、
● 内部の水蒸気が抜ける
● 外部の水は吸い込まない
という理想的な状態になります。
塗装のように“表面の膜が剥がれる”というトラブルが起きにくいのも利点。
第4章 吸水防止材を使用するメリット
吸水防止材を使うことで得られる具体的なメリットを、分かりやすく解説します。
■ メリット① 雨だれ・黒ずみ汚れを大幅に抑える
コンクリートは水を吸うため、雨が降るたびに汚れを吸い込みやすい素材です。
吸水防止材を塗布すると、
● 表面に水が残らない
● 汚れが浸透しない
● 黒ずみの固着を防ぐ
● 乾燥が早い
その結果、雨だれ跡や黒カビ汚れの発生が大幅に減少します。
■ メリット② コンクリートの劣化を遅らせる
コンクリートの劣化の大きな原因は「吸水による内部劣化」。
吸水防止材により
● 中性化(鉄筋が錆びる現象)を抑制
● 凍害(冬のひび割れ)を防ぐ
● 表面の風化を防止
建物全体の寿命延長につながります。
■ メリット③ 見た目を変えずに保護できる
「コンクリートの質感は残したい」
「打ちっぱなしの雰囲気はそのままが良い」
そんな方に最適です。
吸水防止材は透明であるため、
✔ 色を変えたくない
✔ 自然な質感を保ちたい
✔ モルタルの素材感を残したい
という要望に応えながら“保護性能だけ強化”できます。
■ メリット④ 剥がれにくく長持ち
吸水防止材は“内部に浸透するタイプ”なので、塗料のように
× 膜が浮く
× 剥がれる
× ひび割れる
というトラブルが非常に少ないです。
■ メリット⑤ カビ・藻・コケを防ぐ
吸水が減ることで、カビ・藻・コケの繁殖がしにくい環境になります。
特に北側のコンクリート壁では効果絶大。
■ メリット⑥ 施工費が安く済む
吸水防止材は、塗装よりも材料費が安く、施工も早いため
◎ 外壁塗装より安い
◎ 大規模補修よりもリーズナブル
コンクリートのメンテナンスとして非常に経済的です。
第5章 吸水防止材の種類と特徴
吸水防止材の代表的な種類を詳しく解説します。
■ ① シラン系吸水防止材(最も一般的)
シランは非常に細かい分子で、
コンクリート内部に深く浸透するのが特徴。
✔ 浸透性が高い
✔ 透明性が高い
✔ 防水効果が長続き
✔ コンクリートとの相性が良い
外壁・塀・擁壁などに最も使用されます。
■ ② シロキサン系(シランより表面保護力が強い)
● 表面の撥水力が特に強い
● 水滴が転がりやすい
● 美観維持に優れる
雨だれ・黒ずみ対策に優れています。
■ ③ シリコーン系(高撥水タイプ)
● 強い撥水性
● 汚れ防止効果が高い
● 若干の光沢が出る場合がある
表面の汚れが気になる商業施設・店舗で多く使われます。
■ ④ シラン・シロキサン複合系(ハイブリッド)
浸透力(シラン)+撥水力(シロキサン)の“良いとこ取り”の吸水防止材。
近年増えているタイプです。
第6章 吸水防止材のデメリット・注意点
メリットが多い吸水防止材ですが、誤解のないよう、注意点も丁寧に説明します。
■ 注意点① 色付きにはできない
透明のため「色を変えたい」場合は塗装を選びます。
■ 注意点② 劣化が激しい場合は補修が必須
● 大きなひび割れ
● 鉄筋露出
● 表面の欠落
これらは吸水防止材では改善できません。
■ 注意点③ 完全防水ではない
吸水を防ぐ材料であり、
“雨漏りを止める”ための材料ではありません。
■ 注意点④ 劣化がひどい壁は吸い込みが多く材料が増える
浸透系なので劣化が激しい壁は使用量が増加します。
■ 注意点⑤ 部分的に濡れ色になる場合がある
製品によっては光沢が増す場合があります。
第7章 適用場所(どんな場所に有効?)
吸水防止材はコンクリート全般に使えます。
■ 外壁(打ちっぱなしコンクリート)
最も代表的な施工場所。雨だれ汚れや中性化を大幅に防止。
■ 塀・擁壁・境界壁
汚れ・黒ずみ・雨跡に強くなります。
■ モルタル壁
吸い込みが激しいため、効果は大きい。
■ 外階段・外廊下
滑りにくく、黒ずみも抑えられます。
■ コンクリート土間
玄関土間やカーポート下は汚れがつきやすく、吸水防止材が有効です。
第8章 耐久年数と再施工の目安
吸水防止材の耐久年数は5〜10年気候によって差があります。
長持ちする環境
● 日陰
● 屋根の軒下
● 汚れが少ない場所
劣化が早い環境
● 海沿い(塩害)
● 直射日光が強い
● 雨が激しく当たる面
● 車の往来がある床面
第9章 施工工程(プロが行う作業)
吸水防止材の効果を最大に引き出すためには、正しい施工工程が必須です。
① 洗浄
高圧洗浄で
● 汚れ
● コケ
● カビ
● 旧汚れの固着
をしっかり除去。
② 下地補修
ひび割れ・欠けを補修。ここを怠ると後々の劣化が早くなります。
③ 乾燥
コンクリート内部の水分を十分に飛ばす。
④ 吸水防止材の塗布(1〜2回)
ローラー・刷毛・噴霧で施工します。
⑤ 乾燥
24時間程度で完全乾燥。
第10章 費用相場
一般的な相場は…
1㎡あたり 1,000〜2,500円前後
打ちっぱなし外壁(100㎡)なら10万〜25万円程度。
塗装よりも低コストで施工できます。
第11章 コンクリート壁と塗装の比較
吸水防止材と塗装は目的が異なります。
| 項目 | 吸水防止材 | 塗装 |
|---|---|---|
| 見た目 | 変わらない(透明) | 色が変わる |
| 防水 | ◎ | ○ |
| 剥がれ | ほぼ無し | 経年で発生 |
| 汚れ防止 | ○ | ○〜◎ |
| 費用 | 安い | 中〜高 |
| 耐久 | 5〜10年 | 8〜15年 |
| メンテ性 | ◎ | △ |
第12章 吸水防止材のQ&A(15問)
Q1. 本当に透明ですか?
A:はい。ほとんど見た目は変わりません。
Q2. 打ちっぱなしコンクリートに最適?
A:もっとも効果的な建材のひとつです。
Q3. 雨漏りは止まりますか?
A:吸水防止材は雨漏り補修材ではありません。
Q4. 黒ずみ汚れを完全に防げますか?
A:完全ではありませんが大幅に軽減します。
Q5. 何年ごとに塗り直す?
A:5〜10年程度が目安です。
Q6. 色が濃くなることはありますか?
A:製品により“濡れ色”になる場合があります。
Q7. 塗装との併用は可能?
A:はい。部分的に吸水防止材を使うこともできます。
Q8. コンクリート以外にも使える?
A:モルタル・レンガに使える商品もあります。
Q9. DIYでもできますか?
A:可能ですが、プロ施工のほうが均一に仕上がります。
Q10. 汚れがつきにくくなる?
A:水を弾くため、汚れが固着しにくくなります。
Q11. 海沿いの家でも効果ある?
A:塩害対策として非常に有効です。
Q12. 施工後はどのくらいで乾きますか?
A:歩行は数時間、完全乾燥は1日程度です。
Q13. 下地補修が必要な場合は?
A:ひび割れ補修後に吸水防止材を塗布します。
Q14. 光沢が出る?
A:製品によっては少し光沢が出るタイプもあります。
Q15. コンクリートを長持ちさせる効果は?
A:中性化・凍害などの劣化を抑制します。
【まとめ】
コンクリートは見た目の強さとは裏腹に、「吸水による劣化」が非常に多い素材です。
吸水防止材はその弱点を補い、
✔ 雨だれ・黒ずみを防ぐ
✔ カビ・藻を抑える
✔ 劣化を遅らせる
✔ 見た目を変えない
✔ コストが安い
✔ 剥がれにくい
という多くのメリットをもたらす“理想の保護材”です。
打ちっぱなしコンクリート・塀・擁壁・外階段・外廊下など多くの建物で採用され、建物の寿命延長や美観維持に大きな役割を果たします。
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