住宅塗替え部位別の工法説明|屋根

住宅塗替え部位別の工法説明|屋根
目 次

    屋根は住宅の中で、外壁以上に過酷な環境にさらされる部位です。紫外線・雨・風・台風・寒暖差などの影響を365日受け続け、住宅の劣化を大きく左右します。しかし実際には「屋根は見えない場所」でもあり、気づいたときには傷みが進行しているケースも少なくありません。

    本記事では、屋根材ごとの特徴、劣化症状、塗装の必要性、工法、使用される塗料の種類、注意点、費用相場、施工の流れなど、屋根リフォームの全体像を詳しく解説します。

    目次

    1章 屋根塗装の役割と必要性

    屋根は住宅の「最前線で戦う防御壁」です。屋根塗装は単なる美観のためではなく、以下のような重要な機能を担っています。

    ① 雨漏りを防ぐための保護

    屋根材は塗膜によって防水性が保たれています。塗膜が劣化すると、雨水が吸収され、ひび割れ・雨漏りの原因になります。

    ② 紫外線から屋根材を守る

    屋根は外壁の約2倍の紫外線を受けると言われています。塗膜が紫外線を反射し、屋根材の劣化を抑制します。

    ③ 住宅の寿命を延ばす

    屋根材の劣化を遅らせることは住宅寿命の延伸につながります。

    ④ 断熱性・遮熱性の向上

    遮熱塗料を使用すれば、夏の室内温度上昇を抑える効果がある。

    ⑤ 美観の改善

    経年で色あせた屋根は古い印象を強めます。塗装によって新築のような外観に戻すことができます。

    2章 屋根材の種類と特徴

    屋根材によって、塗装が必要かどうか・工法が異なるため、材質の理解は必須です。

    ●スレート屋根(コロニアル・カラーベスト)

    現在最も多く使われている軽量屋根材。

    特徴

    ・軽量で耐震性が高い
    ・デザインが豊富
    ・価格が安い

    塗装が必要な理由

    スレートは塗膜で防水性を維持しているため、塗膜劣化=吸水→ひび割れ→雨漏りにつながります。

    ●金属屋根(ガルバリウム鋼板・トタン)

    特徴

    ・軽量で長寿命
    ・サビに強い(ガルバリウム)
    ・急勾配でも施工しやすい

    塗装が必要な理由

    ・サビの発生
    ・色あせ
    ・防水性能低下

    金属屋根は塗装によって耐久性が大きく変わる素材です。

    ●セメント瓦

    陶器瓦ではなく、セメントを型に流して作られた瓦。塗膜で防水性を保持しているため定期的に塗装が必要。

    ●モニエル瓦

    表面に着色スラリー層がある特殊な瓦で、専用の下塗り材が必須。この知識を持たずに一般塗料で塗装すると早期剥離を起こします。

    ●陶器瓦

    釉薬で焼き固められた瓦で耐久性が非常に高い。基本的には塗装の必要はありません。ただし、漆喰補修・板金補修は必須

    3章 屋根の劣化症状

    屋根は地上から見えにくいため劣化を見逃しがちです。しかし、以下の症状があれば塗装または補修が必要です。

    ① 色あせ

    塗膜劣化の初期段階。

    ② チョーキング(白い粉が出る)

    紫外線で塗膜が分解されている証拠。

    ③ 反り・浮き

    スレートが水分を吸って膨張・収縮した結果。

    ④ ひび割れ

    雨水浸入の大きな原因。

    ⑤ コケ・カビ

    屋根が吸水している証拠。滑落リスクもある。

    ⑥ サビ

    金属屋根では最重要チェック項目。

    ⑦ 棟板金の浮き・釘抜け

    台風で最も被害が出やすい部分。

    4章 屋根塗装の工法(素材別に詳しく解説)

    ここからが屋根塗装の実技的な中心部分です。

    ●スレート屋根の塗装工法

    ① 高圧洗浄

    コケ・汚れ・旧塗膜を徹底的に除去。これは仕上がりに直結する最重要工程。

    ② 下塗り(シーラー)

    吸い込み止め+密着向上。

    ③ タスペーサー挿入(縁切り工程)

    屋根材の重なり部分に隙間を作り、雨水の滞留=雨漏りを防ぐための必須工事。

    ※タスペーサーを入れない業者は要注意。

    ④ 中塗り・上塗り

    通常はシリコン・フッ素・遮熱塗料を使用。

    ●金属屋根の塗装工法(ガルバリウム・トタン)

    ① ケレン作業

    サビ落とし+目荒らし処理。ここが甘いと早期剥離につながる。

    ② サビ止め下塗り

    金属用のエポキシ系防錆プライマーが必須。

    ③ 中塗り・上塗り

    シリコン or フッ素が一般的。近年は遮熱塗料の需要が増加。

    ●セメント瓦の塗装工法

    ① 高圧洗浄

    表面の汚れを落とし状態確認。

    ② 下塗り

    吸い込みが激しいため、シーラーの選定が重要。

    ③ 中塗り・上塗り

    耐久性の高いシリコン・フッ素が推奨。

    ●モニエル瓦の塗装工法(注意!誤施工が多い)

    モニエル瓦は特殊な瓦で、「スラリー層」という表層があるため、通常塗料では密着しません。

    正しい工法

    ① スラリー強化プライマーの使用
    ② 高圧洗浄でスラリー層を除去
    ③ 専用シーラーで密着確保
    ④ 上塗り2回

    誤施工すると1〜2年で剥がれます。

    ●陶器瓦(塗装不要)

    塗装は不要ですが、以下のメンテナンスが重要です。

    ・棟瓦の漆喰補修
    ・瓦のズレ直し
    ・板金固定(台風対策)

    5章 屋根塗料の種類と特徴

    屋根は非常に過酷な環境のため、外壁より高性能を求められます。

    ●シリコン塗料(一般住宅の定番)

    耐久年数:8〜12年コストパフォーマンスが良い。

    ●フッ素塗料(高耐久)

    耐久年数:12〜18年紫外線に強く、塗り替えサイクルを伸ばせる。

    ●遮熱塗料(近年の人気No.1)

    屋根温度を最大10〜15℃下げることも可能。電気代節約・室内環境改善に効果的。

    ●無機塗料(最上位グレード)

    耐久年数:15〜25年非常に高耐候で、長期間美観を保持。

    6章 屋根塗装の流れ(標準工程)

    1. 現地調査(屋根材の確認・劣化度・雨漏り有無)
    2. 足場設置
    3. 高圧洗浄
    4. 下地補修(ひび割れ・棟板金補修など)
    5. 下塗り
    6. 中塗り
    7. 上塗り
    8. 点検・検査
    9. 足場解体

    7章 屋根塗装の費用相場

    屋根材㎡単価特徴
    スレート2,000〜3,500円最も一般的
    金属屋根2,500〜4,000円ケレン量により変動
    セメント瓦3,000〜5,000円吸い込み度合いで差
    モニエル瓦3,500〜6,000円専用下塗り必須

    ※面積・勾配・劣化状況により大きく変動。

    8章 屋根塗装で失敗しないための注意点

    ① 適切な下地処理が重要

    洗浄・ケレン・下塗りが手抜きされると必ず早期剥離します。

    ② 屋根材に合った下塗り材を選ぶ

    特にモニエル瓦は注意。

    ③ タスペーサーの有無を必ず確認

    スレート屋根の雨漏りリスクが大きく変わります。

    ④ 施工実績が多い業者を選ぶ

    屋根は高所作業・専門知識が必要な部位。

    ⑤ 遮熱塗料は正しく施工しないと効果が出ない

    下塗りの厚み・色選びが重要。

    9章 屋根塗装が必要なケーススタディ

    ■ ケース①:築10年で色あせが気になる
    → シリコン塗料で十分効果的

    ■ ケース②:夏の暑さを軽減したい
    → 遮熱塗装+天井断熱の組み合わせが有効

    ■ ケース③:台風後に棟板金が浮いている
    → 板金補修+屋根塗装の同時施工

    ■ ケース④:築25年以上で劣化が激しい
    → 塗装よりも「カバー工法」検討が必要

    10章 まとめ

    屋根塗装は住宅の寿命に直結する非常に重要なメンテナンスです。

    特に屋根は「見えない部分」だからこそ、適切な診断・正しい工法・高品質な塗料が欠かせません。

    屋根の状態に合った工事を選ぶことで、
    ・雨漏りの防止
    ・住宅寿命の延長
    ・快適性の向上
    ・光熱費の削減
    につながります。

    後悔のないリフォームを実現するためには、以下のポイントを押さえて業者を選ぶことが重要です。

    • 中間マージンのかからない、職人直営の自社施工会社を選ぶ。
    • 地域に根ざし、その土地の気候や特性を熟知している会社を選ぶ。
    • 建物の状態を正確に診断し、最適なプランを提案できる専門知識を持った会社を選ぶ。

    福岡で屋根塗装リフォームをご検討の際は、ぜひ私たちトラストホームにご相談ください。
    トラストホームは、福岡の建物を知り尽くしたプロによる「自社施工」にこだわり、中間マージンを徹底的にカットした適正価格で高品質な工事をお届けします。
    お客様の大切な住まいを末永く守るため、最長10年の品質保証と万全のアフターフォロー体制で、安心のリフォームを実現いたします。

    屋根塗装関連記事