スレート屋根の種類・世代別の特徴から最適なリフォーム方法まで
2025.10.26更新
スレート屋根とは、セメントを主成分として固めて作られた薄い板状の屋根材を指します。
日本国内の戸建て住宅で非常に広く普及している屋根材の一つです。軽量で価格が比較的安く、施工しやすいことから多くの住宅で採用されてきました。
しかし、スレート屋根は製造された年代によって耐久性やメンテナンス方法が大きく異なるため、正しい知識を持つことが非常に重要です。
この記事では、スレート屋根の種類から世代別の特徴、劣化症状、そして最適なリフォーム方法までを詳しく解説します。
1.スレート屋根の種類と特徴
スレート屋根は、原料や形状によっていくつかの種類に分類されます。
スレート屋根の構成と耐久性

スレート屋根は、野地板(下地材)・ルーフィング(防水シート)・スレート材(仕上げ材)の3層構造でできています。
表面のスレート材が雨水を受け止め、ルーフィングが内部への浸水を防ぎ、野地板が屋根全体を支える仕組みです。
耐久性は使用する材料によって異なり、ルーフィングは10〜20年程度で劣化が始まる製品もあります。
また、野地板の寿命はおよそ40〜50年とされ、経年劣化や結露による腐食が進むこともあります。
そのため、スレート屋根のリフォームやメンテナンス時には、表面だけでなく下地の状態も合わせて点検・補修することが重要です。
天然スレートと化粧スレート
・天然スレート

天然の岩である「粘板岩(ねんばんがん)」を薄く加工した屋根材です。
ヨーロッパの歴史的建造物などで使用されており、非常に高い耐久性を持ちますが、高価で重量もあるため日本ではほとんど普及していません。
・化粧スレート

セメントと繊維質を混ぜて固めた人工の屋根材です。
日本で「スレート屋根」という場合、一般的にこの化粧スレートを指します。
本記事でも、この化粧スレートを中心に解説を進めます。
平板スレートと波形スレート
・平板スレート

戸建て住宅で最も一般的に使われる、平らな形状のスレートです。
国内ではケイミュー株式会社(旧クボタ、松下電工)の「コロニアル」や「カラーベスト」という商品が圧倒的なシェアを誇り、これらの商品名が平板スレートの代名詞として使われることもあります。
・波形スレート

工場や倉庫、畜舎などで用いられる波型のスレートです。
平板スレートより厚く強度がありますが、近年では新築・改修ともに、より軽量で耐久性の高い金属製の「折板屋根」が主流となっています。
波型スレート屋根の構造

波型スレート屋根は、鉄骨造の建物によく使用される屋根材で、鉄骨の骨組みにあたる母屋(もや)と呼ばれる部材に、フックボルトという金具を引っかけて固定します。
このフックボルトが屋根材をしっかりと支える役割を果たしており、施工が比較的簡単で軽量なのが特徴です。
しかし、フックボルトは金属製のため経年劣化でサビが発生しやすく、錆びが進行するとボルトが細くなったり、屋根材との間に隙間ができることがあります。
その結果、固定力が低下し、雨水が浸入して雨漏りが起きるリスクが高まります。
定期的にボルトの状態を点検し、サビ止め処理やボルト交換を行うことが、長持ちさせるためのポイントです。
屋根材の重量比較
スレート屋根の大きな特徴はその軽さにあります。
建物への負担が少なく、耐震性の面で有利に働きます。
| 屋根材の種類 | 1㎡あたりの重量 |
| スレート屋根 | 約20kg |
| 瓦屋根(和瓦) | 約42kg |
| 金属屋根 | 約5kg |
2.【重要】スレート屋根の世代別耐久性能
化粧スレートは、補強材としてアスベスト(石綿)が使用されていたかどうかで耐久性が大きく異なります。
ご自宅の屋根がどの世代に該当するかを知ることが、メンテナンスを検討する上で最も重要です。
| 世代 | 製造年代の目安 | アスベスト | 耐久性 | 屋根塗装 |
| 第1世代 | ~2000年代初頭 | あり | 高い | 〇 |
| 第2世代 | 1990年代後半~2000年代中頃 | なし | 低い | × |
| 第3世代 | 2000年代後半~現在 | なし | 普通 | △ |
第1世代(アスベスト含有)
アスベストの補強効果により、非常に頑丈で長寿命なのが特徴です。
適切なメンテナンスを行えば30年以上の耐久性が期待できます。
ただし、葺き替えなどで撤去する際には、法令に基づいた飛散防止措置が必要となり、処分費用が高額になります。
代表的な商品には「ニューコロニアル」などがあります。
第2世代(初期ノンアスベスト)
アスベストが規制された直後に製造された、過渡期の製品です。
代替繊維の技術が未熟だったため、強度に問題を抱えています。
築10~15年程度で、表面がミルフィーユのように剥がれる「層間剥離」や、無数のひび割れが発生しやすいのが特徴です。
この世代の屋根材は塗装をしてもすぐに塗膜ごと剥がれてしまうため、塗装工事は絶対に行ってはいけません。
代表的な商品:「パミール」(ニチハ)、「コロニアルNEO」(旧クボタ)など。
第3世代(現行ノンアスベスト)
第2世代の問題点を改善し、現在製造・販売されている製品です。
耐久性は向上し、20年~30年程度の寿命が期待されますが、アスベストを含んでいた第1世代には及びません。
定期的な塗装メンテナンスが推奨されますが、製品によっては不要な場合もあります。
代表的な商品:「コロニアルクァッド」「コロニアルグラッサ」(ケイミュー)など。
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3.スレート屋根の劣化症状
屋根の状態を把握するために、代表的な劣化症状を知っておきましょう。
| 劣化症状 | 危険度 | 主な対処法 |
| 色あせ・変色 | ★☆☆ | 屋根塗装 |
| 苔・カビの発生 | ★☆☆ | 高圧洗浄、屋根塗装 |
| ひび割れ(クラック) | ★★☆ | コーキング補修、差し替え |
| 反り・剥離 | ★★★ | 屋根カバー工法、葺き替え |
| 棟板金の浮き・飛散 | ★★★ | 棟板金交換、部分補修 |
ひび割れや欠けはすぐに雨漏りする?
スレート材の下には「ルーフィング」という防水シートが敷かれています。
そのため、表面のスレートが多少ひび割れたり欠けたりしても、直ちに雨漏りに繋がるわけではありません。
しかし、放置するとルーフィングの劣化を早めるため、早めの補修が推奨されます。
雨漏りの本当の原因
スレート屋根からの雨漏りの多くは、スレート本体ではなく、この下地にある「ルーフィング」の破れや、屋根の頂上にある「棟板金」の浮きから発生します。

4.スレート屋根のリフォーム方法と費用
スレート屋根のリフォームは、劣化の状況に応じて部分的な修理から全体的な改修まで多岐にわたります。
部分的な修理
損傷が限定的な場合に行う修理方法です。
ただし、間違った方法を選ぶと、かえって屋根を傷める可能性があるため注意が必要です。
コーキング補修

スレート表面の小さなひび割れ(クラック)に対して、防水性のある接着剤(コーキング材)を充填して埋める補修方法です。
費用相場は1箇所あたり2万円~5万円程度ですが、あくまで一時的な応急処置と考えるべきです。コーキング材自体が紫外線などの影響で5年~10年で劣化するため、いずれ再補修が必要になります。
また、他の箇所にも同様のひび割れが発生しやすく、いたちごっこになる可能性が高いです。
差し替え補修

ひび割れたり、欠けたりしたスレートを1枚単位で新しいものに交換する方法です。
1枚あたりの費用相場は1万円~3万円程度ですが、この方法はあまり推奨されません。
特に第2世代の脆くなったスレート屋根の上を歩くと、修理箇所以外のスレートまで踏み割ってしまう二次被害のリスクが非常に高いからです。
推奨される部分補修

「Cガード」などの専用補修材差し替えのリスクを回避するため、近年では専用の補修材を用いた修理が推奨されています。
これは「Cガード」などに代表される、スレートの形状に合わせて加工された薄いガルバリウム鋼板です。
割れたスレートの上にこの鋼板を差し込んで被せることで、周辺の屋根材に負荷をかけずに補修が完了します。
防水性と耐久性を向上させることができ、より安全で確実な部分補修の方法といえます。
棟板金の交換

スレート屋根の頂上部を覆っている棟板金は、屋根全体の弱点ともいえる非常に不具合が多い箇所です。
台風などの強風で飛ばされる被害が後を絶ちません。
その主な原因は、棟板金を固定している内部の下地(貫板)が、雨水の浸入によって腐食してしまうことにあります。
木製の貫板は腐食すると釘の固定力がなくなり、簡単に剥がれてしまいます。
そのため、棟板金の交換工事では、この「貫板」を何に交換するかが最も重要です。
| 棟板金の下地の種類 | 耐久性 | 寿命の目安 | 特徴 |
| 木下地 | △(低い) | 10年~20年 | 従来からある一般的な下地。水分で腐食しやすく、固定力が低下しやすい。 |
| 樹脂下地 | 〇(普通) | 15年~25年 | 腐食しないが、温度変化による伸縮や、ビスの打ち方による割れのリスクがある。 |
| 金属下地(アルミ製など) | ◎(高い) | 30年以上 | 腐食や変形の心配がほぼない。最も耐久性が高く、長期的な安心感が得られる。 |
下地の種類によって、工事費用も変わります。
長期的な視点で見れば、初期費用は多少高くても耐久性に優れた金属下地を選択することが、結果的にコストを抑えることに繋がります。
| 棟板金の下地の種類 | 交換費用(1mあたり) |
| 木下地 | 4,000円~5,000円 |
| 樹脂下地 | 4,500円~5,500円 |
| 金属下地 | 5,000円~6,000円 |
※上記費用に加え、足場代が別途必要になる場合があります。
全体的なリフォーム
| メンテナンス方法 | 屋根機能維持の効果 | 費用目安(80㎡) |
| 屋根塗装 | ★☆☆ | 25~40万円 |
| 屋根カバー工法 | ★★★ | 80~120万円 |
| 屋根葺き替え | ★★★ | 120~190万円 |
屋根塗装

美観の回復と、塗膜による防水性の向上を目的とします。
屋根材自体の強度を回復させる効果はありません。
塗装の際は、スレートの重なり部分が塗料で埋まらないよう、「タスペーサー」という部材を挿入して排水性を確保する「縁切り」という作業が不可欠です。
前述の通り、第2世代のスレート屋根には適していません。
屋根カバー工法

既存の屋根の上に新しい防水シートと軽量な金属屋根材などを被せる工法です。
廃材がほとんど出ないため工期が短く、費用も抑えられます。アスベスト含有屋根の改修方法として最も多く採用されています。
屋根葺き替え

既存のスレート屋根をすべて撤去し、下地から新しく作り直す工法です。
下地の腐食が激しい場合や、根本的に問題を解決したい場合に選択します。
リフォーム方法の中で最も費用が高額になります。
まとめ
スレート屋根のメンテナンスを成功させる鍵は、ご自宅の屋根がどの世代のスレートに該当するのかを正確に把握することです。
間違った判断は、塗装してはいけない屋根に塗装してしまうなど、無駄な費用と将来的なリスクに繋がります。
私たちトラストホームは、建物を知り尽くすプロの提案力でお客様の屋根の状態を的確に診断します。
どの世代のスレートで、どのような劣化が進んでいるかを専門家の視点で見極め、本当に必要な最適なリフォームプランだけをご提案いたします。
また、職人直営の自社施工だからこそ、中間マージンなどの余分なコストを一切カットできます。
高品質な施工を適正価格でご提供し、お客様の大切な資産をお守りします。
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ご自宅のスレート屋根について少しでも気になることがございましたら、ぜひ一度トラストホームにご相談ください。