そのトタン屋根は修理が必要?劣化サインと正しいメンテナンス方法
2025.10.27更新
トタン屋根は、かつて日本の多くの建物で使用されていた金属屋根の一種です。
現在ではより高性能な屋根材が登場していますが、ご自宅がトタン屋根だという方もまだ多くいらっしゃるでしょう。
この記事では、トタン屋根の基本的な特徴から、寿命、メンテナンス方法、修理にかかる費用までを網羅的に解説します。
ご自宅の屋根の状態を正しく知り、適切なリフォームを検討するための一助となれば幸いです。
1.トタン屋根とは?
トタン屋根は、トタンと呼ばれる亜鉛めっき鋼板を使用して作られた金属屋根の一種です。
屋根の中央部分に「瓦棒(かわらぼう)」という凸状の部材が見られる形状が多くを占めます。
一般的な寿命は25年から35年程度とされています。
現在ではリフォームの際にトタンが使われることは少なく、より耐久性に優れたガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板を用いて張り替えられるのが主流です。
2.トタン屋根の種類
トタン屋根は、その形状によっていくつかの種類に分類されます。
瓦棒(かわらぼう)

トタン屋根の中で最も代表的な形状です。
屋根材のつなぎ目に芯木(しんぎ)という角材を配置し、その上からトタン板金で覆いかぶせて固定する工法です。
波型トタン

鋼板を波のような形に加工したトタン屋根です。
シンプルな構造のため、主に小規模な倉庫や車庫などで現在も見られます。
折板(せっぱん)

鋼板を大きな台形が連なるように折り曲げて強度を高めた屋根です。
主に大型の工場や倉庫といった建物の屋根に用いられます。
3.トタン屋根の構造と特徴

トタン屋根の多くは「縦葺き」という施工方法が採用されています。
屋根材を軒先から棟に向かって縦方向に張るため、雨水がスムーズに流れ落ちるのが利点です。
この排水性の高さから、屋根の傾斜である「勾配(こうばい)」が緩くても施工できます。
トタン屋根は2寸という緩い勾配から対応可能ですが、一般的なスレート屋根などは2.5寸以上の勾配が必要です。
屋根の勾配が緩いほど屋根面積は小さくなるため、建築コストを抑えられるという側面もあります。
一方で、壁に囲まれた「パラペット構造」の屋根に用いられることも多く、この構造は排水経路が限定されるため雨漏りのリスクが高まります。
4.錆びと塗装メンテナンス


トタン屋根が現在使われなくなった最大の理由は、錆びが発生しやすいという点にあります。
表面の亜鉛めっき層に傷がつくと、そこから鋼板の錆びが広がってしまいます。
錆びは白錆び、赤錆び、黒錆びの順に深刻化し、最終的には屋根に穴をあけてしまいます。
これを防ぐため、10年から15年に一度の周期で塗装によるメンテナンスが不可欠です。
塗装前には、錆びを削り落とす「ケレン作業」と、錆びの再発を防ぐ「錆止め塗料の塗布」が必ず必要になります。
5.寿命と雨漏りの原因

トタン屋根の耐用年数は25年~35年とされていますが、これは定期的なメンテナンスを行った上での数字です。
雨漏りの最大の原因は、錆びが進行して屋根に穴があいてしまうことです。
あいた穴から侵入した雨水は、屋根材の下にある「ルーフィング」という防水シートによって防がれます。
しかし、ルーフィング自体も経年で劣化し硬化するため、防水機能が失われると雨漏りが発生します。
また、瓦棒内部の芯木や、屋根の下地である野地板が湿気によって腐食することも、雨漏りの原因となり得ます。
6.トタン屋根の修理費用と方法
トタン屋根の劣化状況によって、修理方法は複数あり、費用も異なります。
応急処置や部分修理(費用目安:3~10万円)
防水テープやシーリング材で穴を塞いだり、錆びを除去したりする小規模な補修です。
ブルーシートで一時的に覆う方法もこれに含まれます。
棟板金(むねばんきん)の交換(費用目安:10~15万円)
屋根の頂上部にある棟板金は、強風で飛ばされやすい部位です。
内部の下地材である貫板(ぬきいた)の腐食が主な原因で、棟板金と貫板をセットで交換します。
屋根塗装(費用目安:約25万円~※足場代別途)
屋根全体の錆びを除去し、錆止め塗装と仕上げ塗装を施して屋根の防水機能を回復させます。
美観を維持し、屋根を長持ちさせるための基本的なメンテナンスです。
屋根カバー工法(費用目安:80~100万円※足場代別途)
既存のトタン屋根の上に新しい防水シートと屋根材を重ねて張る工法です。
ただし、瓦棒屋根の場合は下地調整に手間がかかるため、葺き替えと費用が大きく変わらず、あまり推奨されません。
屋根の張り替え(葺き替え)(費用目安:80~100万円※足場代別途)
既存のトタン屋根を全て撤去し、下地の野地板から新しく作り直す最も確実なリフォームです。
屋根内部の腐食が進行している場合に最適な工法です。
7.トタン屋根の張り替え手順
葺き替え工事は一般的に以下の手順で進められます。
- 古いトタン屋根材をすべて解体・撤去します。
- 劣化した下地(野地板)の上に、新しい野地板を増し張りします。
- 新しい防水シート(ルーフィング)を隙間なく敷き詰めます。
- 新しい屋根材本体(立平葺きなど)を設置します。
- 耐食性の高いステンレス製のビスで屋根材をしっかり固定します。
- 棟板金などの役物を取り付けて工事完了です。

8.トタン屋根のメリットとデメリット
メリット
・凍害に強い
金属製で吸水しないため、寒冷地で起こりやすい凍結による屋根材のひび割れ(凍害)が発生しません。
・コストが安い
他の屋根材と比較して、新築時の材料費が安価であるという利点があります。
デメリット
・夏は暑く冬は寒い
屋根材自体に断熱性能がほとんどないため、外気の影響を受けやすいです。
・雨音がうるさい
断熱材や遮音材が入っていないため、雨音が直接響きやすいです。
・耐風性に劣る
経年劣化により芯木や釘が腐食すると固定力が低下し、強風で屋根が飛ばされる危険性があります。
| 外壁・屋根の状態、ご予算に応じた 適切な工事をご提案いたします。 福岡で外装についてお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。 フリーダイヤル:0120-52-1124 年中無休(9:00-19:00) ✉️ お問い合わせ・無料診断のお申し込みはこちら (24時間受付) |
9.トタン屋根の修理業者の選び方
トタン屋根のような金属屋根の専門家は「建築板金工事会社」です。
屋根塗装以外の修理、特にカバー工法や葺き替え工事は、金属建材の扱いに長けた建築板金工事会社に依頼することをおすすめします。
信頼できる会社かを見分ける一つの目安として、事業所の所在地を地図アプリなどで確認し、金属の加工や保管に必要な「大きな倉庫」を所有しているかを確認する方法があります。
10.トタン屋根に関するよくある質問
一般的な戸建て住宅の場合、足場代を含めて110~130万円(税込)が目安となります。
ただし、屋根下地の腐食が激しい場合は、別途下地補修費用がかかります。
断熱材が付加された屋根材への葺き替えや、屋根裏の通気性を確保する「屋根通気工法」を取り入れたリフォームで暑さを緩和できます。
断熱材一体型の金属屋根材は存在します。
しかし、トタン屋根はもともと費用を抑える目的で採用されることが多いため、高価な断熱材一体型製品の需要は少なく、割高になる傾向があります。
まとめ
ここまでトタン屋根の様々な側面について詳しく解説してきました。
トタン屋根は、経済性に優れた屋根材ですが、錆びやすいという弱点を抱えています。
その寿命を最大限に延ばすには、定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。
もしご自宅の屋根に錆びや穴あきといった劣化のサインが見られる場合は、専門の業者に診断を依頼することをおすすめします。
福岡のトラストホームでは、地域に根ざした迅速な対応で、お客様の大切な建物の状態を正確に診断いたします。建物を知り尽くした“塗装のプロ”として、お客様の状態に合わせた最適なメンテナンスプランを、中間マージンを省いた適正価格でご提案します。
葺き替えなどの大規模な工事も、熟練の自社職人が一貫して施工にあたるため、高品質な仕上がりをお約束します。
最長10年の品質保証で、工事後も末永くお客様の建物を守りますので、トタン屋根のことでお悩みでしたら、どうぞ安心してお気軽にご相談ください。