外壁カバー工法とは何か?新しい外壁リフォームの選択肢
2025.10.26更新
「築20年、そろそろ外壁が気になるけど、塗装だけで大丈夫かな?」
「どうせリフォームするなら、デザインも性能も新築みたいにしたい!」
「外壁カバー工法ってよく聞くけど、実際どうなの?費用は?塗装とどっちが良いの?」
大切なお住まいの外壁リフォーム。
特に、既存の外壁の上に新しい外壁材を重ね張りする外壁カバー工法は、近年その多くのメリットから注目度が高まっています。
しかし、塗装に比べて情報が少なく、費用も高額になるため、決断に迷われる方も多いのではないでしょうか。
このページでは、福岡で数多くの外壁リフォームを手がける専門家・トラストホームが、外壁カバー工法の基本から、具体的なメリット・デメリット、気になる費用、失敗しないための注意点まで、皆様が知りたい情報を解説します。
1.外壁カバー工法の概要

外壁カバー工法は、既存の外壁の上に新しい外壁材を張り重ねるリフォーム手法です。
古くなった外壁を解体せずに済むため、効率的な改修工事として注目されています。
特に経年による劣化が深刻な外壁や、雨漏りの問題を抱える建物に適しています。
近年では、住まいの断熱性向上や、外観デザインを一新する目的で選ばれるケースも増えています。
定期的な塗り替えが必要な外壁塗装とは異なり、一度の工事で長期的な耐久性を得られる点が大きな特徴です。
2.外壁カバー工法のメリットとデメリット
メリット
外壁カバー工法の最大の利点は、一度の施工で長期にわたるメンテナンスの手間を削減できることです。
外壁塗装が数年ごとに再施工を要するのに対し、カバー工法は新しい外壁で覆うため、新築に近い状態を取り戻せます。
塗装はあくまで表面の塗膜を保護するだけなので、外壁自体の機能性は回復しません。
カバー工法なら、雨漏りをはじめとする外壁の構造的な問題を根本から解決に導きます。
- 外壁の耐久性が飛躍的に向上する
- 長期的なメンテナンスコストを削減できる
- 外観デザインを全く新しいものに変えられる
- 不要になった窓を塞ぐといった改修も可能
- 断熱性能が高まり室内の快適性が向上する
- 遮音性能が上がり外部の騒音が軽減される
- 雨漏りの根本的な解決が期待できる
- 通気層の確保により結露の発生を抑制する
デメリット
外壁カバー工法の主なデメリットは、初期費用が高額になる点です。
一般的な外壁塗装と比較して、およそ2倍から2.5倍のコストがかかる傾向にあります。
- 外壁塗装に比べて初期費用が高い
- 工事期間が長く、作業中の騒音が発生する
- 金属製の外壁材は衝撃で凹みやすい
- 隣家との距離が近い狭小地では施工が難しい場合がある
- 施工業者の技術力によって仕上がりの品質が左右される
- 特定の窓ガラスとの組み合わせで電波障害が起こる可能性がある
カバー工法で後悔しないための注意点
外壁カバー工法は、外壁塗装と比べて施工後の満足度が非常に高いリフォームです。
美しい外観はもちろん、住まいの快適性や資産価値の向上にも貢献します。
しかし、使用される金属サイディングはデリケートな建材です。
職人が手作業で加工・施工するため、細かな傷や凹みが生じる可能性はゼロではありません。
特に新築工事と比べて制約の多いリフォームでは、そのリスクが若干高まります。
そのため、ごくわずかな傷や凹みも許容できない方には、慎重な検討をおすすめします。
3.外壁カバー工法の基礎知識
外壁カバー工法の工事工程

外壁カバー工法の工事がどのように進められるか、その具体的な手順を解説します。
一般的な戸建て住宅の場合、全体の工事期間は約1か月から1か月半が目安となります。
各工程の役割と内容をご理解いただくことで、安心して工事の進捗を見守ることができます。
ステップ1:近隣へのご挨拶と足場の設置
まず工事を始める前に、専門のスタッフが近隣の皆様へご挨拶に伺います。
工事中の騒音や車両の出入りについてご説明し、ご理解をいただく大切な工程です。
その後、作業の安全性と品質を確保するための足場を組み立てます。
足場の周りには、塗料やホコリの飛散を防ぐためのメッシュシートを張ります。
ステップ2:高圧洗浄と下地処理
既存の外壁に付着した長年の汚れやコケ、カビなどを高圧洗浄機で徹底的に洗い流します。
これは新しい外壁材をしっかりと固定させ、下地の劣化を防ぐために重要です。
洗浄後、外壁のひび割れやシーリングの劣化箇所があれば、適切に補修します。
この下地処理の丁寧さが、リフォーム後の耐久性に大きく影響します。
ステップ3:付帯物の撤去
工事の妨げになる雨どいや換気フード、エアコンの配管カバーなどを一時的に取り外します。
取り外した各部品は、紛失や破損がないよう丁寧に保管します。
これにより、壁面全体の作業がスムーズに進み、隅々まで美しい仕上がりを実現できます。
ステップ4:防水シートと胴縁(どうぶち)の設置
既存の外壁の上に、透湿防水シートと呼ばれる特殊なシートを張り巡らせます。
このシートは、雨水の浸入を防ぎながら、壁の内部にこもった湿気は外部へ逃がす機能を持っています。次に、新しい外壁材を固定するための下地となる胴縁という木材を取り付けます。
胴縁は、壁の内部に空気の通り道(通気層)を作り、結露を防ぐという非常に重要な役割を担っています。
ステップ5:役物(やくもの)の取り付け
外壁材本体を張る前に、役物と呼ばれる部材を取り付けます。
役物には、土台部分に取り付ける水切りや、建物の角を保護するコーナー材、窓まわりの部材などがあります。
これらの部材を先に取り付けることで、雨水の浸入経路を確実に塞ぎ、全体の仕上がりが美しくなります。
ステップ6:新しい外壁材(金属サイディング)の施工
ここからが、新しい外壁材を張っていく中心的な工程です。
役物に合わせて、職人が一枚一枚丁寧に金属サイディングを加工し、張り進めていきます。
建物の形状に合わせて正確に採寸・カットする技術が求められる、職人の腕の見せ所です。
ステップ7:付帯物の復旧と最終仕上げ
外壁材をすべて張り終えたら、一時的に取り外していた雨どいや換気フードなどを元通りに取り付けます。
窓まわりや部材の接合部など、防水のために必要な箇所にはシーリング材を充填します。
このシーリング処理によって、建物の防水性がさらに高まります。
ステップ8:最終検査と足場の解体
すべての作業が完了したら、担当者が全体の仕上がりを厳しくチェックします。
傷や汚れ、施工の不備がないかを確認し、問題がなければ建物の周りを清掃します。
お客様にも最終確認をしていただき、ご納得いただけましたら足場を解体します。
足場がなくなると、美しく生まれ変わった我が家の外観がいよいよ姿を現します。

工事の基本的な流れと「胴縁」の役割

外壁カバー工法では、新しい外壁材を取り付ける前に「胴縁(どうぶち)」と呼ばれる下地木材を設置します。
この胴縁は、外壁材を固定するだけでなく、壁の内部に「通気層」という空気の通り道を確保する重要な役割を担っています。
通気層には主に二つの効果があります。
一つは、壁内部の湿気を排出し、結露を防ぐことで建物の劣化を抑制する効果です。
もう一つは、万が一雨水が浸入した際に、それを外部へ排出する排水路としての機能です。
この通気層を新たに設けることで、外壁の耐久性を30年以上にわたって維持することが可能になります。
4.外壁カバー工法で用いる主な外壁材
外壁カバー工法は、既存の外壁の上に新しい外壁材を重ね張りするリフォーム手法です。
この工法で主役となるのは、軽量で施工性に優れる金属サイディングです。
特に、裏側に断熱材が充填された断熱材一体型の製品が広く普及しており、リフォーム後の断熱性能向上に大きく貢献します。
断熱性能を比較するポイント
近年、住宅の省エネルギー基準への関心が高まり、各メーカーは自社製品の断熱性能を示す指標である【熱貫流率】(値が小さいほど断熱性が高い)を公開しています。断熱性能を特に重視される場合は、各メーカーのホームページなどでこの数値を比較検討することをお勧めします。
主流は【ガルバリウム鋼板】、再評価される【アルミ】
カバー工法で用いられる金属サイディングの素材としては、主に「ガルバリウム鋼板」と「アルミ」があります。
【ガルバリウム鋼板】(SGL鋼板含む)

性能、耐久性、デザインの豊富さ、そして価格。これらを総合的に評価すると、現在最もバランスが取れており、多くのお客様にお勧めできるのがガルバリウム鋼板(またはその高耐久版であるSGL鋼板)製の金属サイディングです。
【アルミサイディング】

実は金属サイディングの中で最も歴史が古い素材です。非常に軽量で錆に極めて強く、施工後のメンテナンスがほぼ不要であることから、近年その価値が再評価されています。特に塩害が懸念される沿岸地域では、ガルバリウム鋼板以上の安心感を提供します。
【工場・倉庫などの場合】

住宅ではなく倉庫や工場といった大規模建築物のカバー工法では、コストを最優先するため、断熱材の入っていないガルバリウム鋼板(特に角波と呼ばれるシンプルな形状のもの)が多く採用される傾向があります。
【主なカバー工法用外壁材 性能比較表】
| 外壁材の種類 | 初期費用 | 耐震性【軽さ】 | 断熱性 | デザインの豊富さ | 耐食性【沿岸部】 | 耐衝撃性【凹みやすさ】 |
| ガルバリウム鋼板 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | △ | 〇 |
| SGL鋼板 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
| アルミ | △ | ◎ | 〇 | △ | ◎ | × |
| 樹脂 | ◎ | ◎ | × | × | ◎ | 〇 |
【評価の目安:◎…非常に優れる 〇…優れる △…標準的 ×…劣る】
覚えておきたい施工のポイント


金属サイディングは、一般的に横向きに張られることが多い建材です。
しかし、近年は縦長のラインが美しいスパン系と呼ばれるデザインが登場し、縦向きに張るケースも増えています。
外壁材を横に張るか縦に張るかによって、下地となる胴縁を取り付ける向きが変わる点を覚えておきましょう。
横張りの場合は胴縁を縦向きに、縦張りの場合は胴縁を横向きに設置します。
一般的には、縦向きに胴縁を設置する方が通気性に優れるなどメリットが多いとされています。
また、築20年以上経過している建物では、既存の外壁の上に透湿防水シートという特殊なシートを新たに張り付けることが原則です。
このシートを追加することで、防水性がさらに高まり、雨漏りのリスクを大幅に低減できます。
工事期間と施工の注意点
一般的な戸建て住宅の場合、外壁カバー工法の工事期間は約1か月が目安です。
工事中は足場の設置や資材の搬入が必要になるため、ある程度のスペースを確保する必要があります。
また、外壁全体ではなく、特定の一面だけを施工することも可能です。
例えば、日当たりが強く劣化しやすい南面や、湿気がこもりやすい北面だけを改修するといった柔軟な対応ができます。
5.どんな外壁でもカバー工法は可能か?
既存の外壁材の種類によって、カバー工法の可否や施工時の注意点が異なります。
窯業サイディング

現在日本の住宅で最も普及している窯業サイディングは、問題なくカバー工法を施工できます。
窯業サイディングは10年ごとに塗装とシーリングの打ち替えが必要で、メンテナンスコストがかさみがちです。
カバー工法を一度おこなうことで、将来的な維持管理の負担を大きく軽減できます。
モルタル外壁

ひび割れ(クラック)が発生しやすいモルタル外壁は、カバー工法に非常に適した外壁材です。
実際に、外壁カバー工法が選択されるケースで最も多いのがこのモルタル外壁です。
経年劣化で壁面に凹凸が生じている場合は、胴縁を取り付ける前に下地調整が必要になることがあります。
ALC外壁

軽量気泡コンクリートであるALC外壁へのカバー工法も近年増加傾向にあります。
ALCはパネルの継ぎ目にシーリングが多く使われており、その補修費用が高額になりがちです。
カバー工法によって、このシーリングメンテナンスから解放されるメリットは大きいでしょう。
カバー工法が推奨されないケース
結露や雨漏りによって、既存の外壁材だけでなく内部の下地まで腐食が進行している場合は注意が必要です。
このような状態では、カバー工法ではなく、一度外壁をすべて剥がして張り替える工事が推奨されます。
6.外壁カバー工法に最適なタイミング
建物の築年数ごとに、カバー工法を検討すべき最適な時期を解説します。
築10年未満

基本的に、この時期の建物に外壁カバー工法は必要ありません。
まだ外壁の機能は十分に保たれており、焦ってリフォームをする段階ではありません。
将来の教育費や生活費のために資金を温存することをおすすめします。
築10年から20年未満

築10年を過ぎると、外壁の汚れや色褪せが気になり始める時期です。
この頃になると、塗装業者からの提案も増えてきます。
もし将来的に金属サイディングのデザインや性能に魅力を感じているのであれば、一度目の塗装を見送り、築20年を目安にカバー工法を検討するのも賢い選択です。
その頃には、さらに優れた性能の新製品が登場している可能性もあります。
築20年から39年未満

この期間が、外壁カバー工法を実施するのに最も適したタイミングと言えます。
多くのご家庭で、子育てが一段落し、ご自身の住まいと向き合う余裕が生まれる時期でもあります。
このタイミングで断熱性やデザイン性に優れた外壁カバー工法をおこなうことで、「一生に一度」の安心感と高い満足度を得られます。
もし、これまで一度も外壁塗装をしていないのであれば、トータルコストを大幅に抑えることにも繋がります。
築40年以上

外壁の状態によっては、カバー工法だけでなく、外壁の張り替えも視野に入れるべき時期です。
まずは専門家による詳細な建物診断を受け、外壁内部の劣化状況を正確に把握することが重要です。
状態によっては、建て替えが最善の選択肢となるケースも考えられます。
7.外壁カバー工法の費用と塗装との比較
外壁カバー工法と外壁塗装では、費用感が大きく異なります。
ガルバリウム鋼板を用いたカバー工法の場合、1平方メートルあたりの単価は約11,000円から15,000円が相場です。
初期費用は塗装よりも高くなりますが、シーリングの打ち替えが頻繁に必要な外壁材の場合、長期的に見るとカバー工法の方が割安になる可能性があります。
業者選びのポイント
外壁リフォームの費用は、どの会社に依頼するかで大きく変動します。
工務店やハウスメーカーに依頼した場合、実際の施工は下請けの専門業者(建築板金工事会社)がおこなうため、中間マージンが発生します。
費用を抑えたいのであれば、金属外壁を専門に扱う建築板金工事会社に直接依頼するのが最も賢明です。
直接依頼することで、コストを削減できるだけでなく、より専門的な知識に基づいた質の高い提案を受けることができます。
| 外壁・屋根の状態、ご予算に応じた 適切な工事をご提案いたします。 福岡で外装についてお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。 フリーダイヤル:0120-52-1124 年中無休(9:00-19:00) ✉️ お問い合わせ・無料診断のお申し込みはこちら (24時間受付) |
8.おすすめの外壁材とデザイン

コストパフォーマンスを最優先するなら、単色で板厚0.35mmのガルバリウム鋼板がおすすめです。
価格よりも、シンプルでモダンなデザインや、より高い耐久性を求める場合は、フッ素樹脂塗膜が施された製品や、次世代のガルバリウム鋼板であるエスジーエル鋼板の製品が良い選択肢となります。
各メーカーから多様なデザインとカラーバリエーションが提供されているため、ご自身の好みや建物のスタイルに合わせて選ぶことができます。
9.よくある質問
残念ながら、現在の制度では外壁カバー工法は断熱改修の補助金対象外となることがほとんどです。
基本的に大きなメンテナンスは不要ですが、軒下など雨が直接かからない部分は年に数回チェックしましょう。
もし錆を見つけた場合は、錆が広がる前に専門業者に相談してください。
窓の周りや配管部分など、サイディングが施工できない箇所は塗装で仕上げるのが一般的です。
構造上は可能ですが、建物全体の重量が増加し、耐震性が低下する懸念があるため推奨されません。
専門の補修職人であれば、パテや塗装技術を用いて、ほとんど目立たない状態に修理することが可能です。
外壁カバー工法は専門的な技術と知識を要するため、DIYでおこなうのは非常に困難であり、推奨できません。
10.まとめ
外壁カバー工法は、既存の外壁の上に新しい外壁材を重ね張りすることで、住まいの寿命を大きく延ばすリフォームです。
一度の施工で耐久性・断熱性・デザイン性を飛躍的に向上させ、長期にわたるメンテナンスの負担から解放される点が最大の魅力です。
特に、築20年以上が経過し、複数回の塗装を検討する時期に来ている建物には最適な選択肢と言えるでしょう。
ただし、費用が高額であり、施工には専門的な技術が求められるため、業者選びが成功の鍵を握ります。建物の状態を正確に診断し、最適な材料と工法を提案できる、信頼のおける専門家へ依頼することが何よりも重要です。
福岡の気候や住宅事情を熟知したプロによる外壁カバー工法をご検討なら、ぜひトラストホームにご相談ください。
一棟一棟に最適なプランをご提案し、大切な住まいの価値を末永く守るお手伝いをいたします。