屋根リフォームの見積もりの見方|塗装・カバー工法・葺き替え別に解説
2025.11.14更新
屋根リフォームの見積書は専門用語が多く、初めて見る方にはとても複雑に感じられます。
どの項目が何を示しているのか、提示された価格が本当に適正なのか、判断が難しいものです。
この記事では、屋根工事を検討している方が損をしないために、「屋根塗装」、「屋根カバー工法」、「屋根葺き替え」の3つの工事別に、見積書で確認すべき重要なポイントを分かりやすく解説します。
1.見積書を読み解くための基本ポイント
屋根リフォームには、大きく分けて3つの種類があります。
それは「屋根塗装」「屋根カバー工法」「屋根葺き替え」です。
これらの工事は性質が全く異なり、専門とする職人や工事会社も異なります。
見積もりを比較する前に、まずはこの基本的な違いを理解しておくことが重要です。
| 工事内容 | 主な資材 | 担当職人 | 依頼すべき専門会社 |
| 屋根塗装 | 塗料 | 塗装職人 | 塗装会社 |
| 屋根カバー工法 | 金属屋根材、防水シート | 板金職人 | 板金工事会社 |
| 屋根葺き替え | 金属屋根材、防水シート | 板金職人 | 板金工事会社 |
| 棟板金交換 | 板金 | 板金職人 | 板金工事会社 |
屋根塗装は塗装会社へ、カバー工法や葺き替えのような金属屋根を扱う工事は板金工事会社へ直接依頼するのが一般的です。
ハウスメーカーやリフォーム紹介サイトを経由すると、中間マージンが発生し、費用が割高になる傾向があります。
工事の種類に合った専門の会社へ直接相談することが、適正価格で工事を行うための第一歩です。
2.こんな見積書は要注意!避けるべき業者の特徴
質の低い業者が出す見積書には、いくつかの共通した特徴があります。
①相場からかけ離れた価格提示
見積書に記載された単価が、一般的な市場価格から大きく外れている場合は注意が必要です。
例えば、屋根の防水シートであるルーフィングの単価が、一般的な1,000円/㎡前後に対し、4,000円/㎡などと極端に高く設定されているケースがあります。
また、使用する材料の商品名が記載されていない見積書も信頼できません。
材料によって性能や価格は大きく変わるため、どの製品を使うのか明記されていないのは不親切です。
| 工事の種類 | 適正な費用目安(25坪住宅) | 注意が必要な価格 |
| 屋根塗装 | 20~40万円 | 60万円以上 |
| 棟板金交換 | 20~40万円 | 60万円以上 |
| 屋根カバー工法 | 80~120万円 | 180万円以上 |
| 屋根葺き替え | 110~150万円 | 240万円以上 |
| ※足場費用は含みません。 |
②「一式」表記が多用されている
詳細な内訳がなく、「〇〇工事一式」といった表記が多い見積書は避けるべきです。
優良な見積書は、工事項目ごとに「数量」と「単価」が明記されており、どのようにその金額が算出されたのかが明確です。
一式表記は、何にどれくらいの費用がかかっているのかが不透明であり、顧客への説明責任を果たしているとはいえません。
3.屋根リフォームで失敗しないための業者選び
適切な業者を見つけるためには、いくつかのポイントがあります。
複数社から見積もりを取る
必ず2〜3社から見積もりを取り、内容を比較検討しましょう。
1社だけの見積もりでは、その価格や工事内容が適正かどうかを判断できません。
複数の見積書を見比べることで、工事の相場観が養われ、各社の提案の違いも明確になります。
専門業者に直接依頼する
インターネットの業者紹介サイトは便利ですが、紹介手数料が工事費用に上乗せされる仕組みになっています。
工事費用の10%前後が手数料として引かれるため、その分がお客様の負担になる可能性があります。
地域の塗装会社や板金工事会社に直接依頼すれば、余計な中間マージンを省くことができます。
公的な相談窓口を活用する
提示された見積もりに不安を感じた場合は、公的な機関に相談するのも一つの手です。
「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター」では、見積書の内容が適正かどうかを無料でチェックしてくれるサービスがあります。
4.屋根塗装の見積書で注目すべきチェック項目
屋根塗装の見積書では、以下の点を確認してください。
①屋根用塗料の種類
塗料のメーカー名と商品名が必ず記載されているかを確認します。
屋根は外壁よりも紫外線や雨風の影響を受けやすいため、高い耐久性を持つ塗料が推奨されます。
少なくとも「ラジカル」グレード以上の塗料を選ぶと安心です。
| 塗料グレード | 耐用年数の目安 |
| ウレタン | 約5年 |
| シリコン | 約8年 |
| ラジカル | 約10年 |
| フッ素 | 約12年 |
| 無機 | 約15年 |
②タスペーサーの有無
屋根材がスレート(コロニアル、カラーベスト)の場合、「タスペーサー」または「縁切り」の項目があるか確認します。
これは、塗装によって屋根材の隙間が埋まるのを防ぎ、雨水の通り道を確保するための重要な工程です。
この工程を省くと、屋根内部に水が溜まり、雨漏りの原因となります。
③棟板金交換の有無
スレート屋根や金属屋根の場合、塗装よりも棟板金のメンテナンスが優先されることがあります。
板金を固定している釘が浮いていたり、内部の木下地が腐食していたりしないか確認が必要です。
築20年以上経過している場合は、塗装と同時に棟板金の交換も検討しましょう。
④その他の項目
- ケレン作業:金属屋根の場合、錆を落とすケレン作業が見積もりに含まれているか確認します。
- 保証内容:工事後に不具合が発生した場合、どこまで保証してくれるのか、保証の範囲と期間を事前に確認しておきましょう。
注意点:塗装してはいけない屋根
2000年代前半に製造されたノンアスベストのスレート屋根は、素材自体が脆くなっていることがあります。
このような屋根に塗装を行うと、高圧洗浄などで屋根材を傷め、かえって寿命を縮める可能性があります。
知識のある業者であれば、塗装ではなくカバー工法などを提案するはずです。
5.屋根カバー工法・葺き替えの見積書で注目すべきチェック項目
金属屋根を用いるカバー工法や葺き替え工事では、より専門的な確認が必要です。
①防水シート(ルーフィング)の種類
屋根の二次防水として非常に重要なのが防水シートです。
安価な製品は10年程度で劣化しますが、高耐久な製品は30年以上の寿命が期待できます。
見積書に商品名が記載されているかを確認し、長く安心して使える製品を選びましょう。
②金属屋根の種類
使用する金属屋根材の商品名と鋼板の種類を確認します。
現在では、従来のガルバリウム鋼板より錆に強い「SGL(エスジーエル)鋼板」が主流です。
断熱材が一体になったタイプを選ぶと、遮熱性や遮音性が向上し、室内の快適性もアップします。
| 鋼板の種類 | 耐用年数の目安 |
| トタン | 約20年 |
| ガルバリウム鋼板 | 約30年 |
| SGL鋼板 | 約35年 |
③固定用のビス
屋根材を固定するビスは、錆に強い「ステンレス製」が推奨されます。
鉄製の釘やビスは、錆びてしまうとそこから雨漏りを引き起こす原因になります。
④メーカー純正部材の使用
棟板金や雪止め金具などは、使用する屋根材メーカーの「純正品」を使っているか確認します。
形状が合わない他社製品を使用すると、見た目が悪いだけでなく、雨漏りのリスクも高まり、メーカー保証の対象外となる可能性があります。
⑤板金下地の材質
棟板金の内部にある下地材は、従来木材が使われてきましたが、湿気で腐食しやすいのが欠点でした。
近年では、腐食の心配がない「樹脂製」や「金属製」の下地が推奨されています。
⑥換気棟の取り付け
屋根裏の湿気や熱を排出する「換気棟」の設置が提案されているか確認しましょう。
換気棟を取り付けることで、結露を防ぎ、屋根全体の耐久性を高める効果が期待できます。
⑦その他の項目(工事別)
- ケラバ板金(カバー工法時):屋根の側面(ケラバ)部分の仕上がりを美しくするため、専用の幅広タイプの板金を使用するか確認します。
- セットバックスターター(カバー工法時):軒先部分の雨水の流れをスムーズにし、ゲリラ豪雨の際に雨樋から水が溢れるのを防ぐ部材です。
- 構造用合板12mm(葺き替え時):屋根の下地となる野地板には、強度が高い「構造用合板」が使われているか確認します。
- 下地調整(土葺き屋根の葺き替え時):重い瓦を撤去した後の歪んだ屋根面を、平らに補正する下地調整工事が含まれているか確認します。
まとめ
屋根工事の見積書は、ただの金額表ではなく、これから行われる工事の品質を約束する重要な書類です。
記載されている項目の一つひとつに意味があり、それらを丁寧に確認することが、リフォームの成功につながります。
分からない専門用語があれば遠慮なく質問し、全ての項目に納得した上で契約を結ぶようにしましょう。
福岡で外装リフォームをご検討の際は、私たちトラストホームにご相談ください。
トラストホームでは、建物を知り尽くしたプロとして、お客様が納得できるまで分かりやすくご説明し、詳細で透明性の高いお見積書をご提出します。
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