導電型塗床材とは?|静電気を“逃がして守る”機能性床材の基礎知識
導電型塗床材(どうでんがたとゆかざい)とは、床に蓄積した静電気を安全に逃がす(放電する)機能を持たせた特殊な塗床システムです。一般的な床材と異なり、「静電気対策(帯電防止)」を目的として設計されており、半導電性または導電性を持つ成分が床面に均一に分散されていることが特徴です。
静電気は人が触れるだけで数千〜数万ボルトに達することもあり、精密機械や電子部品、可燃性物質を扱う施設では重大な事故につながる可能性があります。導電型塗床材は、その静電気リスクを根本から抑制する“安全確保のための床材”と言えます。
【1】導電型塗床材の基本構造と仕組み
導電性を持たせるため、塗床材には次のような成分・構造が用いられます。
① 導電性フィラー(カーボンブラック・導電繊維・金属粉)を混合
塗床材の中に微細な導電粒子を均一に分散させることで、床面に電気の通り道(導電ネットワーク)を形成します。
② 導電プライマー(下塗り)と導電銅箔テープを併用
塗床材だけでは十分な静電気逃がしができないため、床下に銅箔テープ(アース線と連結)を貼り付け、床全体の静電気をアースへ逃がす構造を作ります。
③ アース接続(接地)
導電型塗床材の最も重要な要素です。アース工事が適切でないと、本来の帯電防止効果が発揮されません。
【2】導電型塗床材の役割とメリット
導電型塗床材が選ばれる理由は、静電気によるリスクを低減し、作業環境を安全に保つためです。
① 静電気の発生・蓄積を防止する
人の歩行・設備の稼働・搬送機器の摩擦などで床面には静電気が蓄積します。導電型塗床材は静電気をアースへ逃がし、帯電しにくい環境をつくる役割を持ちます。
② 精密機器の誤作動・破損を防止
静電気は電子部品にダメージを与えるため、工場や研究施設では致命的な事故につながる可能性があります。
導電型塗床材は
✔ 回路の誤作動
✔ 微小な静電破壊(ESD)
✔ 感電事故
などを防ぎ、設備と製品の品質を守ります。
③ 火災・爆発のリスクを低減
静電気放電(スパーク)が引火源となる可能性があるため、可燃性ガス・溶剤・粉塵を扱う施設では導電床材が必須です。
例:
・塗装ブース
・化学薬品倉庫
・溶剤取扱設備
・食品粉体工場
④ 人へのショック防止(帯電ストレスの軽減)
静電気ショックは痛みやストレスだけでなく、現場作業に支障をきたすことも。導電型塗床材は歩行時の体荷電を抑えるため、作業の効率化にもつながります。
【3】導電型塗床材の種類
導電型塗床材には用途によっていくつかのタイプがあります。
① 導電型(Conductive)
電気抵抗値:10³〜10⁵ Ω(非常に通電しやすい)
● 特徴
・高い導電性能
・可燃性ガス・溶剤を扱う危険エリアに最適
・静電気を迅速にアースに逃がす
● 主な用途
・塗装ブース
・危険物倉庫
・化学工場
・爆発リスクのある作業区域
② 帯電防止型(Anti-static / Static Dissipative)
電気抵抗値:10⁶〜10⁹ Ω(緩やかに通電)
● 特徴
・精密機器を静電気から守るための床材
・急激に電気を流さず安全に放電
● 主な用途
・半導体工場
・電子部品組立ライン
・医薬品製造エリア
・クリーンルーム
【4】導電型塗床材が使用される場所
導電床材は、静電気が問題となる多くの業種で採用されています。
■電子部品工場・基板工場
静電破壊防止に必須。
■クリーンルーム
静電気により塵埃が吸着するのを防ぐ。
■精密機器組立ライン
機器故障を防ぎ品質を安定化。
■爆発性ガスの扱いがある施設
スパークによる引火事故防止。
■病院・医療施設(手術室など)
機器誤作動の防止。
■塗装工場
塗膜不良や火災防止。
【5】導電型塗床材の施工の流れ(概要)
- 下地研磨・清掃
- クラック補修
- 導電性プライマー塗布
- 導電銅箔テープ貼り
- 導電型塗床材の中塗り
- トップコート仕上げ
- 電気抵抗の測定(性能確認)
施工後の抵抗測定は非常に重要で、仕様値に達していなければ不適合となります。
【6】導電型塗床材のメリット・デメリット
【メリット】
✔ 静電気トラブルを根本から防止
✔ 設備・製品の品質を守る
✔ 爆発・火災リスクの低減
✔ 異物混入(塵吸着)を防ぐ
✔ 施工後の耐久性が高い
✔ 既存床の改修にも対応
【デメリット】
・一般塗床より材料費・施工費が高い
・アース工事が必須
・抵抗値の管理が必要
・使用環境によって適切なグレード選定が求められる
【7】まとめ|導電型塗床材は静電気リスクを抑えるための“安全・品質管理の要”
導電型塗床材は、
✔静電気を逃がす
✔設備や製品を守る
✔火災・爆発を防ぐ
✔クリーンな環境を維持する
という、工場や研究施設に欠かせない役割を持つ床材です。特に電子工業・医薬品・化学工業など、静電気が致命的な障害になり得る分野では必須の設備と言えます。
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