トタン屋根塗り替え徹底ガイド|劣化症状・耐久性・塗り替え時期・費用相場・塗料選びまで徹底解説
トタン屋根は古くから多くの住宅・倉庫・店舗で使用されてきた屋根材で、今でも根強い人気があります。シンプルな構造で軽量、施工性も良く、比較的コストを抑えて屋根を葺けるため、特に昭和〜平成初期に建てられた住宅では非常に多く採用されました。
しかし同時に、
「そろそろサビが気になってきた…」
「塗り替えが必要って言われたけど、どこまで本当?」
「張り替えと塗り替え、どっちがいいの?」
「費用がいくらくらいかかるか不安」
など、トタン屋根ならではの不安・疑問を持つ方が非常に多いです。
この記事を読めば、「トタン屋根の塗り替えについて、専門知識がなくても判断できる」そんな内容になっています。
第1章|トタン屋根とは?素材の特徴と基本構造
トタン屋根とは、薄い鉄板に亜鉛メッキ処理を施した屋根材のことです。昔からある屋根ですが、実はとても優秀な素材で
● 軽量
● 加工しやすい
● 耐震性が高い
● コストが安い
● 施工が早い
といったメリットがあります。
トタン屋根は大きく2種類に分かれます。
■ ① 亜鉛メッキ鋼板(従来のトタン)
鉄板に亜鉛をメッキしたシンプルな素材。
メリット
・価格が安い
・施工が簡単
・軽量で建物への負担が少ない
デメリット
・サビやすい
・耐久性があまり高くない
・定期的な塗装が必須
■ ② ガルバリウム鋼板(次世代トタン)
亜鉛+アルミ+シリコンの合金メッキで、耐久性が大幅に高い屋根材です。
メリット
・サビに強い
・耐久性が飛躍的に向上
・塗装周期が長い
・住宅にも倉庫にも利用される
デメリット
・従来よりやや高価
・塗膜保証が付かないケースもある
✦ トタン屋根の寿命は?
● 亜鉛メッキ鋼板:15〜25年
● ガルバリウム鋼板:30〜40年
ただしこれは「塗装などのメンテナンスを行った場合」の目安です。塗装しないで放置すれば、もっと早く寿命を迎えてしまいます。
第2章|トタン屋根の塗装が必要な理由
トタン屋根の塗装が必要な理由は、非常に明確です。
理由1:サビを防ぐため
トタン屋根は鉄を使用しています。鉄は塗膜が切れた瞬間から酸素・水分・塩分によってサビ始めます。塗装=鉄を空気から守る「防錆コーティング」というイメージです。
理由2:穴あき(腐食)を防ぐため
放置されたサビは、
・赤サビ → 表面劣化
・黒サビ → 腐食進行
・穴あき → 雨漏り発生
と進行します。
穴が開いた時点で塗装では直りません。板金交換やカバー工法になります。
理由3:美観の維持
トタン屋根は色褪せが早く、数年で退色が目立ちます。
● 色ムラ
● 白化
● 汚れ付着
などが起こりやすく、放置すると住宅全体が古く見えます。
理由4:屋根表面温度の上昇防止
トタンは金属なので熱を吸収しやすく、夏場に表面温度が60℃〜80℃になることもあります。
遮熱塗料を使用することで、
● 小屋裏温度
● 2階の熱こもり
が軽減され、快適性が向上します。
理由5:長持ちさせるためのメンテナンス
塗装は
「生き返らせる」ではなく
「寿命を延ばす」メンテナンスです。
トタン屋根のメンテナンスを怠ると
→ 最短5年で穴あき
→ 10〜15年で葺き替えレベル
になるケースもあります。
第3章|トタン屋根の劣化症状:塗装すべき5つのサイン
トタンは劣化が見た目に出やすい屋根材です。以下の症状が一つでも出ていれば、早めに塗装(または補修)を検討しましょう。
■ サイン① 色あせ(退色)
【危険度:★☆☆(初期劣化)】
最も分かりやすい劣化症状です。
● 新築時の鮮やかな色が薄くなる
● ツヤが完全に消えてマットな質感になる
● 南面だけ極端に焼ける
まだサビは出ていない段階ですが、塗膜が紫外線で分解され、防水性が下がっている状態です。
■ サイン② チョーキング(白い粉)
【危険度:★★☆】
外壁でよく起こる現象ですが、トタン屋根でも表面を触ると粉がつくことがあります。
塗膜が粉化している=防水性が弱まっているサインです。
■ サイン③ サビの発生
【危険度:★★★】
トタン屋根塗装で最も重要視すべきポイントです。
【初期】
・薄い茶色のサビが点々と出る
【中期】
・広範囲にサビが広がる
・ザラザラ感・ボコボコ感が強くなる
【重度】
・サビが黒っぽく固まる
・穴あき直前の状態
赤サビ・黒サビのどちらかでも放置すると
腐食→雨漏りにつながります。
■ サイン④ 塗膜の剥がれ・膨れ
【危険度:★★★★】
・パリッと剥がれる
・表面が膨らむ
・皮膚のめくれのような剥離
これは非常に危険な状態です。
下地処理を誤った場合にも起こりやすいので、過去に施工した業者の質によっても差が出ます。
■ サイン⑤ 穴あき(腐食)
【危険度:★★★★★(最終段階)】
完全に穴があくと、
● 屋根の葺き替え
● カバー工法
● 張り替え
など、数十万円〜数百万円規模の工事に発展します。
塗装では直せないため、ここまで進む前にメンテナンスすることが重要です。
第4章|トタン屋根の塗り替え時期はいつ?
年数で判断する場合の一般的な目安は以下の通りです。
■ 塗り替え周期の目安
● 亜鉛メッキ鋼板(従来のトタン)
→ 6〜10年ごと
● ガルバリウム鋼板
→ 10〜15年ごと(場合によってはもっと長持ち)
■ 環境によって大きく変わります
● 海沿い(塩害)
→ 2〜3倍のスピードでサビが出る
● 山間部・湿気が多い地域
→ サビ・苔が発生しやすい
● 南面・西面
→ 紫外線劣化が進む
● 工場地帯
→ 排気の化学成分による腐食
■ サビが出たら年数に関係なく塗装が必要
特にトタンは「サビ=緊急サイン」です。
サビは金属内部にどんどん進行し、目に見える時点で内部の腐食が始まっています。
年数より“症状ベース”で判断するのが正しい方法です。
第5章|トタン屋根の塗料選び:どの塗料が長持ちする?
トタン屋根の塗料選びで最も重要なのは、
● 防錆性能
● 耐候性
● 密着性
の3つです。
ここでは屋根によく使われる塗料をグレード別に紹介します。
■ ① ウレタン塗料
耐久:5〜7年
コスト:安い
特徴:柔らかく密着性は高いが紫外線に弱い
今ではほとんど選ばれません。
■ ② シリコン塗料
耐久:7〜12年
コスト:中程度
特徴:バランスが良く一般住宅で最も普及
「価格と耐久のバランスが良い」ためよく選ばれます。
■ ③ ラジカル制御型塗料
耐久:10〜14年
特徴:チョーキングを抑える最新技術
コスト・耐久のバランスが優秀で、人気が急上昇しています。
■ ④ フッ素塗料
耐久:13〜18年
特徴:紫外線に強く屋根向け
屋根は外壁より紫外線ダメージが大きいため、高耐久のフッ素は非常に相性が良いです。
■ ⑤ 無機塗料
耐久:18〜23年
特徴:最高レベルの耐久性
価格は高めですが、屋根を長持ちさせたい方に最適。
■ ⑥ 遮熱塗料
特徴:夏の暑さ対策になる
メリット:小屋裏の温度が下がる
遮熱機能は「外壁より屋根の方が効果が出やすい」です。
第6章|費用相場:トタン屋根塗装はいくらかかる?
30坪前後の住宅での一般的な費用イメージは以下の通り。
■ 費用相場(足場込み)
● シリコン系 :40万〜60万円
● ラジカル系 :45万〜65万円
● フッ素 :55万〜80万円
● 無機 :60万〜90万円
■ 外壁塗装と同時施工が一番お得
足場代は【15万円〜25万円】ほどかかるため、
● 屋根単体より外壁と一緒に塗る
→ 足場1回で済むため大幅に節約できる
逆に、屋根だけの単独工事は割高になるケースがほとんどです。
第7章|トタン屋根塗装の施工手順【プロが行う工程を全公開】
トタン屋根は「下地処理」が命です。これを手抜きすると数年で剥がれます。ここでは基本工程を紹介します。
① 高圧洗浄
目的:汚れ・苔・古い塗膜・サビ粉を除去
② ケレン作業(研磨)
サビ・剥がれを落とす最重要工程。
● ケレン処理が甘い=剥がれる工事
● プロほどケレンに時間をかける
③ 錆止め(下塗り)
トタン塗装の肝となる工程。
・錆止め塗料をたっぷり塗布
・凹凸部分まで塗り残しゼロで施工
④ 中塗り・上塗り(仕上げ)
用途に合った屋根用塗料で2回塗り。
● 規定塗布量を守ること
● 乾燥時間を確保すること
が非常に重要です。
⑤ 最終チェック・完了
塗りムラ・剥がれ・塗り残しをチェックし、仕上がりを確認して完了です。
第8章|トタン屋根塗装のよくあるQ&A
Q1. トタン屋根は塗装しないとどうなりますか?
A:サビが進行し、最終的には穴があきます。
穴があいた時点で塗装では対応できず、
葺き替えやカバー工法が必要になります。
Q2. 張り替えと塗装、どっちがいいですか?
A:次の基準で判断します。
● サビ初期 → 塗装
● サビ中〜後期 → 塗装+板金補修
● 穴あき多数 → 葺き替え・カバー工法
Q3. DIYで塗装できますか?
A:おすすめしません。
理由
・塗膜が密着せず数年で剥がれる
・錆止め処理が難しい
・高所作業で危険
プロの仕上がりとは品質が大きく異なります。
Q4. 遮熱塗料は本当に涼しくなる?
A:効果あります。屋根表面温度で10〜20℃下がるケースもあります。
Q5. ガルバリウム屋根も塗装は必要?
A:必要なケースがあります。
● 新築から10〜15年程度
● チョーキング
● 色あせ
● 汚れ付着
などの劣化があれば塗装が有効です。
【まとめ】トタン屋根塗装は「サビの前に」行うのが一番お得
トタン屋根の塗装は、
● サビを止める
● 屋根を長持ちさせる
● 雨漏りを防ぐ
● 美観を保つ
● 将来の工事費用を抑える
という5つのメリットがあります。
そして最も重要なのは、「症状が軽いうちに塗装するほど費用が安い」という点です。
● 色あせ → 塗装すれば復活
● サビ初期 → ケレン+塗装で延命
● 穴あき → 塗装不可(張り替え必須)
屋根は毎日、雨・風・紫外線を受け続けています。外壁よりも劣化が早いのは当然です。
もしご自宅のトタン屋根に
・サビ
・剥がれ
・色あせ
・コケ
といった症状が見られる場合は、早めに専門家の点検を受けておくと無駄な費用を抑え、長く安心して住むことができます。
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