屋根用塗料の選び方|失敗しないための「性能」「耐久性」「相性」がすべてわかる
屋根は、外壁以上に過酷な環境にさらされているため、塗料選びを間違えると寿命が極端に短くなったり、雨漏りにつながる重大なトラブルを引き起こすことがあります。
しかし、お客様からいただく声はいつも同じです。
「どの塗料が良いのか全然わからない…」
「結局フッ素?シリコン?無機?何が違うの?」
「ネットの情報がバラバラで混乱する」
「屋根だけグレードを上げるべきって本当?」
結論から伝えると、屋根塗装の塗料選びは「外壁と同じでOK」では絶対にありません。
屋根塗料は、外壁塗料とは耐久性の基準も、劣化スピードも、塗料の相性も違うため、屋根専用としてしっかり選ぶ必要があります。
本記事では、初めての方でも迷わず選べるように、屋根塗料の種類・劣化状況別の選び方・料金比較・メーカー解説・施工時の注意点まで、徹底的に解説します。
- 1. 第1章:なぜ屋根は“塗料選び”が重要なのか?
- 2. 第2章:屋根用塗料の種類と性能の順番
- 3. 第3章:各塗料の特徴をわかりやすく解説
- 4. 第4章:屋根材別の最適塗料
- 5. 第5章:“絶対に失敗しない”屋根塗料の選び方5ステップ
- 6. 第6章:屋根塗料の費用相場
- 7. 第7章:屋根塗装で後悔しないための注意点
- 8. 第8章:屋根塗料のQ&A
- 8.0.1. Q1. 屋根塗料は何年持ちますか?
- 8.0.2. Q2. 外壁と同じ塗料で屋根も塗ればいいの?
- 8.0.3. Q3. 遮熱塗料って効果ある?
- 8.0.4. Q4. 黒い屋根でも遮熱できますか?
- 8.0.5. Q5. 無機塗料は塗膜が硬すぎて割れる?
- 8.0.6. Q6. 雨漏りしていても塗装できる?
- 8.0.7. Q7. カバー工法と塗装はどちらがいい?
- 8.0.8. Q8. 塗料は厚ければ厚いほど良い?
- 8.0.9. Q9. 屋根塗装は何日かかる?
- 8.0.10. Q10. 自宅の屋根に合う塗料がわからない
- 8.0.11. Q11. 夏に塗装したほうが遮熱効果ある?
- 8.0.12. Q12. 塗装後すぐ雨が降るとどうなる?
- 8.0.13. Q13. DIYで屋根を塗っても大丈夫?
- 8.0.14. Q14. 足場なしでもできる?
- 8.0.15. Q15. 塗料のメーカーはどこがいい?
- 9. 【まとめ】
第1章:なぜ屋根は“塗料選び”が重要なのか?
■ 理由① 外壁の3倍以上の紫外線を浴びている
屋根は傾斜や角度の関係で、外壁の約2〜3倍の紫外線を浴びています。
紫外線は建物の劣化原因の第1位。塗膜を破壊し、退色・剥がれ・ひび割れを引き起こします。
だからこそ、屋根は外壁よりも強い塗料を選ぶ必要があります。
■ 理由② 雨・風・熱・雪のすべてを直接受ける
屋根は建物の最前線で自然のダメージを受けています。
・台風の風圧
・豪雨
・夏場の60℃を超える表面温度
・朝夕の温度差
・冬の凍害
これらは外壁よりもはるかに過酷。
外壁はシリコンで問題なくても、屋根はシリコンでは耐久不足になる場合があるのはそのためです。
■ 理由③ 劣化すると雨漏りに直結する
屋根の塗膜は「防水の最終バリア」という重要な役割を持っています。
劣化すると…
・ひび割れ
・屋根材の反り
・コケの繁殖
・棟板金の浮き
・雨水の浸入
が発生し、最終的には 雨漏り に直結します。
だからこそ、塗料の耐久性が建物の寿命に直結する といえます。
第2章:屋根用塗料の種類と性能の順番
まずは塗料の“基礎知識”として、屋根塗料の種類を耐久性順に整理します。
【耐久性ランキング】
① 無機塗料(最上位)
② フッ素塗料
③ 遮熱フッ素
④ ラジカル制御型
⑤ シリコン塗料(屋根は耐久控えめ)
⑥ ウレタン塗料(現在ほぼ不向き)
⑦ アクリル塗料(屋根用は不可)
屋根の場合は特に「無機・フッ素・遮熱」が主流という点がポイントです。
第3章:各塗料の特徴をわかりやすく解説
① 無機塗料(最強の屋根塗料)
耐久年数:18〜25年
特徴:汚れにくい、紫外線に最強、塗膜が硬い
費用:やや高いが長期的に最安になる
ガラス成分など“無機物”を多く配合した塗料で、紫外線に極めて強いのが特徴。
屋根に最も適した塗料グレードです。
✔ とにかく長く持たせたい
✔ 一度の塗装で長期間安心したい
✔ 海沿いや雨量が多い地域に住んでいる
という方に最適。
② フッ素塗料(高耐久+コスパ良)
耐久年数:15〜20年
特徴:紫外線に非常に強い、耐熱性が高い
費用:中間〜高め
シリコンの上のグレードで、屋根の強烈な紫外線に耐える優秀な塗料。
外壁はシリコンでも、屋根はフッ素にする「ミックス施工」も非常に多いです。
③ 遮熱フッ素・遮熱無機(人気トップ)
耐久年数:15〜25年
特徴:屋根の温度上昇を抑える、省エネ効果
価格:普通〜やや高い
現在、最も人気なのが遮熱タイプ。
屋根温度を最大10〜20℃下げることも可能で、夏の暑さ対策、電気代の節約に効果的。
④ ラジカル制御型塗料
耐久年数:12〜15年
特徴:色褪せしにくい、価格が手頃
価格:中間
最新技術の“新世代塗料”。シリコンより耐久性が高く、屋根にも十分使えるレベルです。
⑤ シリコン塗料(外壁は定番だが屋根は注意)
耐久年数:8〜12年
特徴:価格は手頃、性能は標準
価格:安め
外壁では1番人気のシリコンですが、屋根には耐久年数が物足りない場合が多いです。
紫外線が強い地域(九州・関西・四国)はシリコンでは早期劣化が起こりやすい傾向があります。
⑥ ウレタン塗料(屋根には不向き)
耐久性が低く、現在は付帯部用の塗料として使用。屋根にはほとんど採用されません。
第4章:屋根材別の最適塗料
■ スレート(コロニアル・カラーベスト)
→ 日本の屋根で最も多い屋根材
最適:
✔ 遮熱無機
✔ 遮熱フッ素
✔ 無機
✔ フッ素
“塗装前の縁切り(タスペーサー)”が必須です。
■ ガルバリウム鋼板
→ 金属屋根
最適:
✔ 無機
✔ フッ素
✔ ラジカル
※下塗りは必ず「サビ止めプライマー」
■ トタン屋根
→ 古い家に多い金属屋根
最適:
✔ 無機
✔ フッ素
✔ ラジカル
サビが発生しやすいため、
「ケレン(サビ落とし)」「サビ止め」が超重要。
■ モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)
→ 塗料の相性を間違うと剥がれる
最適:
✔ 無機
✔ フッ素
✔ ラジカル
※専用下塗りが必要(これがポイント!)
■ セメント瓦
→ 塗装で長期保護できる
最適:
✔ 無機
✔ フッ素
✔ 遮熱フッ素
第5章:“絶対に失敗しない”屋根塗料の選び方5ステップ
STEP1:屋根材を知る(まずはコレ)
屋根材によって選べる塗料が変わります。
スレート・金属・セメント瓦など、種類の把握が最優先。
STEP2:耐久年数で選ぶ
「あと何年住む予定があるか」で決めるのが正解。
● 長く住む → 無機・フッ素
● 中期的に住む → ラジカル
● とりあえず綺麗にしたい → シリコン
STEP3:遮熱が必要か考える
遮熱塗料は
✔ 夏の暑さを軽減
✔ エアコン代が下がる
多くのご家庭が選ぶ理由は “生活の快適さ” です。
STEP4:屋根の劣化状況をチェック
劣化が激しい場合は
✔ 塗装より“カバー工法”が適している
✔ 専用プライマーが必要
✔ 補修が多いと塗装の寿命が短い
など判断が変わります。
STEP5:メーカーと職人の相性を重視
屋根塗料はメーカーの基準どおりに塗らないと性能が出ません。
塗装会社の技術力・管理体制が非常に重要です。
第6章:屋根塗料の費用相場
屋根塗装の費用は選ぶ塗料で大きく変わります。
| 塗料 | 費用相場(30坪) |
|---|---|
| 無機 | 45万〜70万 |
| フッ素 | 40万〜60万 |
| 遮熱フッ素 | 45万〜70万 |
| ラジカル | 35万〜50万 |
| シリコン | 28万〜45万 |
※屋根の状態・勾配・足場によって大きく変動します。
第7章:屋根塗装で後悔しないための注意点
✔ 最低3回塗りが必須
✔ 下塗り選びが最重要
✔ 劣化度によって工程が変わる
✔ タスペーサー必須(スレート)
✔ 乾燥時間(インターバル)を守ること
✔ 足場の費用はなるべく一度でまとめる
第8章:屋根塗料のQ&A
Q1. 屋根塗料は何年持ちますか?
A. 選ぶ塗料により
● 8〜12年(シリコン)
● 12〜15年(ラジカル)
● 15〜20年(フッ素)
● 20〜25年(無機)
が目安です。
Q2. 外壁と同じ塗料で屋根も塗ればいいの?
A. いいえ。
屋根は外壁より強い塗料が必要です。
Q3. 遮熱塗料って効果ある?
A. はい。
屋根温度を10〜20℃下げることが可能で、
実際に涼しく感じます。
Q4. 黒い屋根でも遮熱できますか?
A. できます。
黒系の遮熱塗料も存在します。
Q5. 無機塗料は塗膜が硬すぎて割れる?
A. 現在の無機塗料は柔軟性も備えており問題ありません。
Q6. 雨漏りしていても塗装できる?
A. 雨漏りは塗装では直りません。
原因の補修が必要です。
Q7. カバー工法と塗装はどちらがいい?
A. 劣化が激しい場合はカバー工法がおすすめです。
Q8. 塗料は厚ければ厚いほど良い?
A. いいえ。
メーカー規定の膜厚を守ることが重要です。
Q9. 屋根塗装は何日かかる?
A. 約4〜6日が目安です(天候による)。
Q10. 自宅の屋根に合う塗料がわからない
A. 屋根材・劣化・地域の気候で最適解が変わります。
Q11. 夏に塗装したほうが遮熱効果ある?
A. 季節は関係ありません。
塗料そのものに効果があります。
Q12. 塗装後すぐ雨が降るとどうなる?
A. 乾燥前であれば塗り直しが必要です。
Q13. DIYで屋根を塗っても大丈夫?
A. 危険なうえ、保証外になるためおすすめできません。
Q14. 足場なしでもできる?
A. 基本は不可です。
安全面・仕上がり・保証の観点から足場は必須。
Q15. 塗料のメーカーはどこがいい?
A. 日本ペイント・アステック・エスケー化研などが人気です。
【まとめ】
屋根塗料の選び方は、“屋根材”“耐久性”“遮熱の必要性”“劣化状況”この4つでほぼ決まります。
✔ 長く住むなら無機
✔ コスパならフッ素
✔ 快適性なら遮熱
✔ バランスならラジカル
✔ 最低限ならシリコン
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