屋根の寿命を決める「ルーフィング」とは?種類と選び方を完全解説
2025.10.26更新
ルーフィングとは、屋根材の下に敷く防水シートのことです。
普段は見えない部分ですが、雨漏りを防ぐ「最後の砦」として建物を守る重要な役割を担います。
屋根材が一次防水、ルーフィングが二次防水となり、このルーフィングの品質が屋根全体の寿命を大きく左右するのです。
本記事では、多種多様なルーフィングの種類から、ご自宅に最適な製品を選ぶための知識をプロが分かりやすく解説します。
1.ルーフィングのグレードと価格
ルーフィングは専門の建材店だけでなく、大型のホームセンターなどでも購入可能です。
性能や価格によって、大きく3つのグレードに分けられます。
グレード間で価格差はありますが、その差は驚くほど大きくはありません。
| グレード | 分類 | 耐用年数の目安 | 価格(1本あたり) |
| 低グレード | アスファルトルーフィング | 約10年 | 約5,000円~ |
| 中グレード | 改質アスファルトルーフィング | 約20年 | 約6,000円~ |
| 高グレード | 両面不織布改質アスファルトルーフィング | 約30年以上 | 約8,000円~ |
上記の価格はあくまで一例です。
重要なのは、グレードを上げたとしても施工の手間はほとんど変わらないという点です。
一般的な住宅でグレードを一つ上げても、材料費の差額は1万円程度に収まることが多いです。
わずかな追加費用で、住宅の防水性能と寿命を大きく延ばせるコストパフォーマンスに優れた建材と言えます。
それにも関わらず、多くの新築住宅で低グレード品が使われている実態があります。
完成後は見えなくなる部分であることや、コスト削減が優先される傾向が背景にあります。
特に「アスファルトルーフィング940」は、建売住宅で広く採用されている最低基準の製品です。
この「940」という数字は、JIS規格で定められた1㎡あたりのアスファルト含浸量に由来します。
2.ルーフィングの最低耐用年数とJIS規格

ルーフィングの耐用年数は最低でも10年が一つの基準とされています。
これは「住宅瑕疵担保履行法」で、事業者に10年間の雨漏り保証が義務付けられているためです。
裏を返せば、10年さえ持てば良いという考え方にも繋がりかねません。
JIS規格(日本工業規格)も、あくまで最低限の品質を保証する基準です。
しかし、長期的に安心して住むためには、より耐久性の高い「改質アスファファルトルーフィング」の選択が望ましいです。
アスファルト防水業界の団体も、従来の製品より高性能な改質アスファルトルーフィングの使用を強く推奨しています。
3.ルーフィングの構造と基本的な施工方法

ルーフィングは、屋根の下地である野地板(のじいた)の上に敷き詰めていきます。
施工方法は屋根工事の種類によって異なります。
新築や葺き替え工事では、タッカーと呼ばれる大きなホッチキスのような道具で野地板に固定するのが一般的です。
屋根カバー工法で既存の屋根材の上に施工する場合は、釘と板金チップを使って固定します。
ただし、ノンアスベストの脆いスレート屋根材の場合は、釘を打つと屋根材が割れる恐れがあります。
そのため、裏面がシール状になった粘着式のルーフィングを使用します。
粘着式は下地に穴を開けずに施工できるため、防水性を高める上でも有効な方法です。
4.ルーフィング施工における重要ルール
美しく仕上げ、防水性能を確実に発揮させるためには、守るべき基本的なルールがあります。
ルール1:下から上へ葺く

ルーフィングは、屋根の低い部分である「軒先」から、高い部分である「棟」に向かって順番に葺き上げます。
これは雨水が上から下へ流れる性質に合わせた基本中の基本です。
ルール2:十分な重ね代を確保する

シート同士を重ね合わせる「重ね代(かさねしろ)」を、メーカーの規定通りに確保します。
一般的に上下方向は100mm以上、左右方向は200mm以上が目安です。この重ね部分が、水の浸入を防ぐ重要な役割を果たします。
ルール3:壁際は立ち上げる

外壁と屋根が接する部分は、雨漏りリスクが高い箇所です。
ルーフィングの端を壁側に沿って立ち上げるように施工することで、水の侵入経路を完全に断ちます。
ルール4:壁際はルーフィングを立ち上げる(新築時)

屋根と外壁が交わる「取り合い部」は、雨水が溜まりやすく、雨漏りが発生しやすいポイントです。
そのため新築工事では、外壁の仕上げ材(例:窯業系サイディング)を張る前に、屋根側のルーフィングを外壁側へ立ち上げる処理を行います。
この「ルーフィングの立ち上げ処理」によって、内部への浸水を防ぐ“最後の防水ライン”として重要な役割を果たすのです。
なお、屋根カバー工法の場合はこの立ち上げ処理は不要です。既存の外壁や取り合い部をそのまま残すため、ルーフィングの施工範囲は屋根面に限定されます。
ルール5:保管は立てて行う

材料の品質を保つため、ルーフィングは現場で横に寝かせず、必ず立てて保管します。
これにより、製品の変形や損傷を防ぎます。
5.ルーフィングの主な種類と特徴
ルーフィングは素材や製法によって、主に「アスファルト系」と「高分子系」に大別されます。
アスファルト系ルーフィング
日本で最も普及している標準的なタイプです。
アスファルトを主成分とし、防水性としなやかさを両立させています。
基材には紙と不織布があり、強度や耐久性は不織布の方が圧倒的に優れています。
①アスファルトルーフィング940

表面をグリーンで着色しているので、墨打ち作業時に墨の発色が良く、確認が容易で作業効率アップに貢献。
最も安価で基本的な製品です。
JIS規格の最低基準を満たしており、耐用年数は約10年です。
②改質アスファルトルーフィング(片面不織布)

アスファルトにゴムなどを混ぜて性能を高めたものです。
通称「ゴムアス」と呼ばれ、コストと性能のバランスが良い中グレード品です。
③改質アスファルトルーフィング(両面不織布)

シートの両面を不織布で強化した高耐久製品です。
耐用年数は30年以上で、長期的な安心を求める場合に最適です。
④粘着式改質アスファルトルーフィング

裏面がシールになっており、釘を使わずに施工できるタイプです。
主にリフォームの屋根カバー工法で用いられます。基材が紙の製品と不織布の製品があり、性能が異なります。
高分子系ルーフィング

ポリプロピレンなどの化学繊維を主成分とする、欧米では主流のタイプです。
アスファルト系に比べて軽量で、耐久性や耐熱性に優れる特徴があります。
①高分子系(透湿性なし)
軽量で扱いやすく、屋根への負担を軽減できる製品です。
②高分子系(透湿性あり)
湿気は通し、水は通さない特殊な性質を持ちます。屋根裏の結露を防ぎ、下地である野地板の腐食を抑制する効果があります。
③高分子系(透湿性・遮熱性あり)
透湿機能に加え、表面のアルミ層で太陽熱を反射する遮熱機能を持ちます。夏場の室温上昇を抑える効果が期待できます。
| 外壁・屋根の状態、ご予算に応じた 適切な工事をご提案いたします。 福岡で外装についてお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。 フリーダイヤル:0120-52-1124 年中無休(9:00-19:00) ✉️ お問い合わせ・無料診断のお申し込みはこちら (24時間受付) |
6.機能性によるルーフィングの使い分け
近年は特定の機能に特化したルーフィングも増えています。
粘着式ルーフィング

釘穴を開けずに施工できるため、特にノンアスベスト屋根材のカバー工法で活躍します。
下地との密着性が高く、防水性を確実に確保したい場合に選ばれます。
不織布ルーフィング

紙を基材とする製品よりも、引裂き強度や寸法安定性に優れます。
長期的に性能を維持するためには、不織布を基材とした製品を選ぶことが重要です。
透湿ルーフィング

屋根内部の結露を防ぎ、野地板の寿命を延ばす機能があります。
家の耐久性を根幹から支えるための重要な選択肢です。
遮熱ルーフィング

夏の厳しい日差しによる熱を反射し、室内を快適に保ちます。
冷房効率の改善にも繋がり、省エネ効果も期待できます。
7.ルーフィングの劣化と雨漏りの関係

雨漏りの原因の多くは、屋根材そのものではなくルーフィングの劣化にあります。
アスファルトルーフィングは経年で硬化し、柔軟性を失っていきます。
硬くなったルーフィングは、建物の動きや温度変化によってひび割れや破れが生じやすくなります。
特に折り曲げられている壁際は、亀裂が入りやすい要注意箇所です。
一度破れたルーフィングは防水機能を失い、雨漏りに直結します。
屋根の葺き替えやカバー工法は、劣化したルーフィングを新しくすることが本来の目的なのです。
8.プロが推奨するルーフィングの選び方
最適なルーフィングは、現在の屋根の状態や工事方法によって変わります。
ここでは費用対効果を重視した、信頼性の高いおすすめの製品をご紹介します。
葺き替え・アスベスト含有屋根のカバー工法に「ニューライナールーフィング」(田島ルーフィング)

耐用年数30年以上を誇る両面不織布の高耐久製品です。
多くのハウスメーカーでも採用実績があり、信頼性が高い選択肢です。
ノンアスベスト屋根のカバー工法に「タディスセルフカバー」(田島ルーフィング)

不織布を基材とした粘着式ルーフィングです。
脆いノンアスベスト屋根を傷つけることなく、確実に防水層を形成できます。
より高い耐久性を求める粘着式なら「カスタムライト」(日新工業)

アスファルト層を二重にした高耐久な粘着式ルーフィングです。
表面が滑りにくく、夏場の高温時でも施工しやすいという職人目線のメリットもあります。
家の長寿命化を目指すなら「ウートップ」(ウルトジャパン)

ドイツで開発された超高耐久の透湿ルーフィングです。
約80年という驚異的な耐用年数を持ち、結露から野地板を守り、住宅の資産価値を長期にわたって維持します。
まとめ
ルーフィングは、一度施工すると普段は見えなくなる、しかし住宅の寿命を支える非常に重要な部分です。
適切な製品知識がないまま業者に任せてしまうと、数年後に大きな差となって現れる可能性があります。
私たちトラストホームは、建物を知り尽くしたプロの提案力で、お客様の屋根の状態やご予算に合わせた最適なルーフィングを選定します。
職人直営の自社施工だからこそ、メーカーの定める正しい施工基準を遵守し、ルーフィングの性能を最大限に引き出すことが可能です。
見えない部分にも一切妥協せず、長期的な品質保証でお客様の暮らしを末永くお守りします。
ルーフィングに関するご相談も、ぜひ福岡のトラストホームにお任せください。
