火災保険を使った屋根修理ガイド|申請方法からトラブル回避術まで専門家が解説

2025.11.04更新

火災保険を使った屋根修理ガイド|申請方法からトラブル回避術まで専門家が解説
目 次

    近年の地球温暖化などの影響により、台風や突発的な強風、豪雨といった自然災害が増加傾向にあります。
    それに伴い、ご自宅の屋根が被害を受け、火災保険を利用して修理をおこなう方が年々増えています。
    住宅購入時に加入された火災保険は、多くの場合、火事だけでなく風災や雪災、雹災(ひょうさい)などの自然災害による損害も補償の対象となります。

    私たちトラストホームも、これまで福岡の多くの地域で、火災保険を活用した屋根修理をサポートしてまいりました。
    保険の申請と聞くと「手続きが複雑で難しそう」と感じるかもしれませんが、正しい手順を踏めば決して難しいものではありません。
    このページでは、火災保険を利用した屋根修理の基本的な知識から、具体的な申請方法、注意すべきトラブルまで、専門家の視点から分かりやすく解説します。

    1.はじめて火災保険で屋根修理をするための基礎知識

    火災保険の申請をスムーズに進めるために、まずは基本的な専門用語の意味を理解しておきましょう。
    言葉の意味を知ることで、保険会社とのやり取りや書類の内容をより深く理解できるようになります。

    用語意味
    保険料保険の契約者が、補償を受けるために保険会社へ支払うお金のことです。
    保険金建物が被害を受けた際に、保険会社から契約者へ支払われる修理費用などのお金のことです。
    見舞金修理費用とは別に支払われることがあるお金です。例えば、修理中に仮住まいが必要になった場合の宿泊費などが該当します。
    保険鑑定人損害の状況や原因、金額が適正であるかを判断するために、保険会社から派遣される専門の調査員のことです。

    火災保険は「すまいの保険」


    火災保険という名称ですが、実際には火災だけでなく、風災・水災・雪災・落雷・雹災など、さまざまな自然災害による住まいの損害を補償します。
    そのため、近年では「すまいの保険」という名称で提供されることも増えています。
    ご自身の保険がどのような災害をカバーしているか、一度保険証券を確認してみることをお勧めします。

    火災保険と共済の違い


    火災保険は民間の保険会社が提供する営利目的の商品で、一般的に補償が手厚い傾向にあります。
    一方、共済は非営利団体が運営しており、組合員同士の助け合いを目的としています。
    共済金は保険金に比べると「見舞金」としての性質が強く、補償範囲や金額が限定的な場合があります。どちらも住まいを守るためのものですが、補償内容に違いがあることを覚えておきましょう。

    2.火災保険が適用される自然災害の具体例

    どのような被害であれば火災保険の対象となるのか、具体的な例を見ていきましょう。屋根だけでなく、雨どいや外壁、カーポートなども対象となるケースが多くあります。

    風災(台風・竜巻・強風など)による被害例

    • 強風で屋根のスレートや瓦が割れた、もしくは飛んでいった。
    • 屋根の頂上にある棟板金が浮いてしまった、もしくは剥がれてしまった。
    • 風で飛んできた物が当たり、屋根や外壁に穴が開いたり、へこんだりした。
    • 軒天(屋根の裏側部分)が風にあおられて剥がれてしまった。

    雹災(ひょう)による被害例

    • 雹が当たって屋根材にひびが入ったり、割れたりした。
    • 雨どいに雹が当たり、穴が開いたり変形したりした。
    • カーポートの屋根パネル(ポリカーボネートなど)が雹で割れた。

    雪災(大雪・雪崩など)による被害例

    • 雪の重みで雨どいが歪んだり、外れたりした。
    • 積雪の重みでカーポートの屋根がへこんだ、もしくは倒壊した。
    • 屋根からの落雪で、下の屋根や物置が破損した。

    その他の被害例

    • 落雷によって瓦が破損した。
    • 近隣からの飛来物(おもちゃや小石など)が屋根に当たって傷ついた。

    これらの被害は、経年劣化ではなく、自然災害が直接的な原因であると証明することが重要です。

    3.火災保険の申請方法と流れ

    火災保険の申請は、正しい手順で進めればとてもスムーズです。
    一般的に、以下の流れで手続きが進みます。

    1. 保険会社または代理店へ連絡
      まず「自然災害で屋根が被害を受けたので、保険を使って修理したい」という旨を伝えます。
      このとき、被害を受けた日時や状況を簡潔に説明しましょう。
    2. 申請書類の取り寄せ
      連絡後、保険会社から申請に必要な書類一式が郵送されてきます。
      最近では、スマートフォンのアプリやウェブサイトから申請できる保険会社も増えています。
    3. 専門業者へ調査と見積もりを依頼
      保険金の請求には、専門業者による「被害状況の写真」と「修理見積書」が不可欠です。
      私たちトラストホームのような屋根の専門家にご依頼いただければ、被害箇所の的確な調査と写真撮影、そして適正な価格での見積書作成を責任を持って行います。
    4. 必要書類の作成と提出
      お客様にご記入いただく書類と、私たちが用意する書類を合わせて保険会社へ提出します。
      • お客様が用意するもの
        • 保険金請求書
        • 事故状況報告書
      • 修理業者が用意するもの
        • 修理見積書
        • 被害箇所の写真
    5. 保険会社の審査と損害額の決定
      提出された書類を元に、保険会社が審査を行います。
      被害額が大きい場合や、申請内容に不明な点がある場合は、保険鑑定人が現地調査に来ることがあります。
    6. 保険金の入金
      審査が完了し、支払われる保険金額が決定すると、お客様ご指定の銀行口座に保険金が振り込まれます。

    4.要注意!火災保険の申請にまつわるトラブルと詐欺手口

    残念ながら、火災保険を手軽に使えることを悪用し、不当な利益を得ようとする悪質な業者が存在します。

    トラブルに巻き込まれないために、代表的な手口を知っておきましょう。

    • 突然訪問してくる「点検商法」
      「無料で屋根を点検します」と言って突然訪問し、屋根に上ってわざと屋根を壊し「台風の被害だ」と嘘の報告をして契約を迫る手口です。
    • 「自己負担ゼロ」を強調する
      「保険金を使えば自己負担なく修理できます」という言葉で契約を急かし、高額な工事契約を結ばせる手口です。
      実際に必要な修理以上の過大な請求を行い、差額を利益にしようとします。
    • 高額なキャンセル料の請求
      保険申請の代行を依頼した後で工事契約を断ると「申請サポート手数料」などの名目で高額なキャンセル料を請求されるケースです。
    • 嘘の理由で申請を勧める
      明らかに経年劣化であるにもかかわらず「うまくやれば保険金がおります」などと、虚偽の申請をそそのかす手口です。
      これは契約者自身が詐欺に加担することになり、絶対に応じてはいけません。

    トラブルを避ける最大の防御策は「相見積もり」

    悪質な業者は、他社と比較されることを極端に嫌います。
    保険金が使えるからと一社に任せきりにせず、必ず複数の信頼できる業者から見積もりを取り、提案内容や金額を比較検討することが何よりも重要です。

    5.保険金が支払われない・減額される主なケース


    申請をしても、残念ながら保険金が支払われない、あるいは減額されてしまう場合があります。
    主な原因は以下の通りです。

    • 経年劣化と判断された場合
      サビやコケ、塗膜の剥がれなど、長年の使用による自然な劣化が原因の損傷は補償の対象外です。
      災害による被害か、経年劣化かの判断は専門家でないと難しい場合があります。
    • 被害額が免責金額に満たない場合
      多くの保険契約には「損害額が20万円以上の場合に補償する」といった免責条項が設けられています。
      修理費用がこの金額を下回る場合は、保険金が支払われません。
      ただし、屋根修理は足場の設置が必要になることが多く、ほとんどの場合で20万円を超えます。
    • 契約者や被保険者の故意・過失による損害
      わざと建物を壊したり、修理を怠ったことで被害が拡大したりした場合は、補償の対象になりません。
    • 申請期限(3年)を過ぎている場合
      保険法により、被害を受けたときから3年以内に申請しないと、請求権が時効で消滅してしまいます。
      被害に気づいたら、なるべく早く連絡することが大切です。

    6.【トラストホームが推奨】賢い火災保険の使い方


    保険金は、原則として使い道が自由です。
    保険会社に申請した通りの部分修理を必ず行わなければならない、というわけではありません。
    そこで私たちトラストホームは、受け取った保険金を「より長持ちする住まいのための投資」として活用することをお勧めしています。

    例えば、台風でスレート屋根が数枚だけ剥がれたとします。
    保険で認められるのは、その数枚を差し替える部分修理の費用だけかもしれません。
    しかし、築20年が経過した屋根であれば、他の部分も同様に劣化が進んでいる可能性が高いです。
    再び同じような台風が来れば、また別の場所が被害を受けるかもしれません。

    そこで、受け取った保険金を自己資金にプラスして、屋根全体を長持ちする金属屋根で覆う「カバー工法」や、屋根材をすべて新しくする「葺き替え工事」を行うのです。

    これは、目先の修理で終わらせるのではなく、将来の安心を手に入れるための賢明な選択と言えます。
    どのような修理が最適か、建物を知り尽くしたプロとして、お客様の状況に合わせた最善のプランをご提案します。

    7.火災保険の屋根修理に関するよくある質問

    Q.保険の申請は、保険会社と保険代理店のどちらに連絡すれば良いですか?

    A.
    どちらにご連絡いただいても問題ありません。24時間対応していることが多い保険会社のコールセンターやウェブサイトから直接連絡すると、その後の手続きがスムーズに進む傾向があります。

    Q.保険を使うと、翌年から保険料は上がりますか?

    A.
    自動車保険のような等級制度はないため、火災保険を一度利用したことで個人の保険料が直接上がることは基本的にありません。ただし、大規模な自然災害が多発すると、地域全体の保険料率が見直され、将来的に保険料が改定される可能性はあります。

    Q.調査や見積もりに費用はかかりますか?

    A.
    トラストホームでは、保険申請を前提とした建物の調査やお見積もりの作成を無料で行っております。ご自宅の屋根が対象になるか分からないという場合でも、まずはお気軽にご相談ください。

    Q.申請から保険金が振り込まれるまで、どのくらいの期間がかかりますか?

    A.
    書類を提出してから、通常は数週間から1ヶ月程度で振り込まれるのが一般的です。ただし、大きな台風の直後など、保険会社への申請が集中する時期は、審査に時間がかかり通常より長くかかることもあります。

    Q.もし保険金がおりなかった場合、どうなりますか?

    A.

    調査の結果、経年劣化が原因と判断された場合などは、残念ながら保険が適用されないこともあります。その場合は、保険を使わない形での最適な修理プランをご予算に合わせてご提案させていただきます。また、保険会社の判断にどうしても納得できない場合は「そんぽADRセンター」のような中立な第三者機関に相談することも可能です。

    Q.修理費用が、受け取った保険金額を上回ってしまった場合はどうすれば良いですか?

    A.
    受け取った保険金額を超える部分については、お客様の自己負担となります。そのため、私たちは保険金を有効活用し、より耐久性の高い屋根リフォーム(カバー工法や葺き替え工事)の費用の一部に充てることを推奨しています。工事開始前に必ず総額のお見積もりをご提示し、ご納得いただいた上で進めますのでご安心ください。

    Q.被害に気づいてから、どのくらいで申請すれば良いですか?

    A.

    保険法では、被害を受けた日から3年以内が申請の期限と定められています。しかし、時間が経つほど災害による被害なのか、経年劣化なのかの判断が難しくなるため、被害を発見したら可能な限り速やかに申請することをお勧めします。

    Q.保険金がおりたら、必ず工事をしないといけませんか?A.原則として保険金の使い道は自由ですが、被害を放置すると雨漏りなど、より大きな被害に繋がる危険性があります。建物の資産価値を守るためにも、速やかに適切な修理を行うことを強くお勧めします。

    まとめ

    火災保険を使った屋根修理は、自然災害から大切な住まいを守るための正当な権利です。
    申請手続きそのものは難しくありませんが、最も重要なのは「どの業者に調査と修理を依頼するか」という点に尽きます。
    保険金が手に入ることだけを目的とせず、二度と災害に遭わないための、安心できる質の高い工事を実現することこそが本当の目的です。

    私たちトラストホームは、地元福岡に根ざし、豊富な経験を持つ職人が直接施工管理にあたります。
    適正価格での保険申請サポートはもちろん、お客様の建物の状態をプロの目で的確に診断し、長期的な安心を見据えた最適な修理プランをご提案することをお約束します。
    火災保険を利用した屋根修理でお悩みの方は、どうぞお気軽にトラストホームまでご相談ください。