外壁カバー工法の費用はいくら?内訳と価格を抑えるポイントを専門家が解説
2025.11.04更新
外壁のリフォームを考えたとき「外壁カバー工法」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
外壁塗装よりも費用はかかりますが、新築同様の美しい外観と高い機能性を手に入れられる魅力的な工法です。
この記事では、外壁カバー工法の費用相場や工事の内訳、価格を左右する要因について詳しく解説します。
メリット・デメリットや見積もりの見方も紹介しますので、ぜひリフォーム計画の参考にしてください。
1.外壁カバー工法(重ね張り)にかかる費用相場
外壁カバー工法の費用は、使用する外壁材によって変動しますが、金属サイディングを用いる場合で1㎡あたり9,000円〜14,000円が相場です。
一般的な戸建て住宅の場合、工事全体の総額としては200万円前後が目安となります。
総額費用の内訳
| 項目 | 費用相場 | 備考 |
| 金属サイディング本体 | 9,000円〜14,000円/㎡ | 本体価格+施工費 |
| 足場設置 | 約20万円 | 住宅の規模により変動 |
| 付帯部分の塗装 | 約25万円 | 軒天や破風板など |
| 雨どいの交換 | 約20万円 | 交換する場合。脱着のみなら約5万円 |
例えば、外壁面積160㎡の住宅で、1㎡あたり10,000円の金属サイディングを使用し、雨どいを交換した場合の総額は約225万円です。
これは外壁塗装工事(窯業サイディングで約100万円、モルタルで約80万円)と比較すると、およそ2倍から2.5倍の費用感となります。
外壁カバー工法とは
外壁カバー工法は「重ね張り」とも呼ばれ、現在の外壁を撤去せず、その上から新しい外壁材を張るリフォーム手法です。
既存の外壁を解体しないため、廃材の発生が少なく、解体費用や処分費用を抑えられる特徴があります。また、行政への確認申請なども不要で、手軽に外観を一新できる工法として注目されています。
使用される外壁材は、軽量で耐久性や断熱性に優れた金属サイディングが主流です。
2.外壁カバー工法のメリットとデメリット
費用だけでなく、カバー工法が持つメリットとデメリットを正しく理解しておくことが重要です。
メリット
- 工期の短縮とコスト抑制
既存外壁の解体や撤去作業がないため、工事期間を短くできます。
廃材の処分費用もかからないため、外壁を全て新しくする「張り替え」に比べて総コストを抑えることが可能です。
張り替え工事が250万円〜350万円かかるのに比べ、コスト面での優位性があります。 - 断熱性・遮音性の向上
壁が二重構造になることで、外気の影響を受けにくくなり、断熱性能が向上します。
特に断熱材が裏打ちされた金属サイディングを使えば、夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境を実現できます。
エアコンの使用頻度が減り、光熱費の節約にもつながるでしょう。
同時に、外部の騒音が室内に伝わりにくくなる遮音効果も期待できます。 - 建物のイメージを一新できる
新しい外壁材で覆うため、まるで新築のように外観デザインを生まれ変わらせることができます。
色やデザインの選択肢が豊富で、好みのスタイルに合わせて住まいの印象を大きく変えることが可能です。
デメリット
- 建物の総重量が増加する
外壁が二重になるため、建物全体の重量が増えます。
そのため、現在の建物の耐震性に問題がないか事前に確認が必要です。
特に築年数が古い建物では、耐震性への影響を慎重に検討する必要があります。 - 既存外壁の下地劣化が激しいと施工できない
カバー工法は、下地となる既存の外壁が健全であることが前提です。
下地の腐食や劣化が著しい場合は、上から新しい外壁材を張ることができません。
その場合は、外壁の張り替えや部分的な補修が必要になります。
施工前には専門家による正確な診断が不可欠です。 - 外壁塗装と比べて工事費用が高い
外壁塗装の費用相場が約80万円〜100万円であるのに対し、カバー工法は約200万円と高額です。
しかし、一度施工すれば長期間にわたりメンテナンスの必要がなく、長期的な視点で見るとコストパフォーマンスに優れていると言えます。
3.外壁カバー工法で重ね張りする外壁材の種類
カバー工法で主に使用される外壁材は「金属サイディング」と「樹脂サイディング」です。
素材によって費用や特徴が異なります。
| 種類 | 1㎡あたりの費用相場 | 特徴 |
| ガルバリウム鋼板 | 9,000円〜 | 軽量で耐久性が高く、デザインも豊富。現在最も主流の素材。 |
| エスジーエル鋼板 | 11,000円〜 | ガルバリウムを改良した高耐久素材。錆に非常に強い。 |
| アルミサイディング | 13,500円〜 | 最も軽量で錆びにくいが、価格が高い。 |
| 樹脂サイディング | 10,000円〜 | 軽量で色褪せしにくい。シーリングを使わない工法が特徴。 |
※窯業サイディングも使用できますが、重量があるため耐震性の観点から部分的な使用に留めるのが一般的です。
- ガルバリウム鋼板
日本国内で最も普及している金属サイディングです。
軽量で建物への負担が少なく、耐久性にも優れています。
各メーカーから多様なデザインや色の商品が販売されており、コストパフォーマンスの高さから第一の選択肢となることが多い素材です。 - エスジーエル鋼板
ガルバリウム鋼板のめっき層を強化し、防錆性を格段に高めた次世代の鋼板です。
特に沿岸地域など塩害が懸念される場所で優れた耐久性を発揮します。
近年、屋根材としても普及が進んでおり、人気が高まっています。 - アルミサイディング
金属サイディングの中で最も軽量で、錆びに対する耐性が非常に高い素材です。
建物への重量負担を最小限に抑えたい場合に適しています。
ただし、他の素材に比べて価格が最も高価になる点がデメリットです。 - 樹脂サイディング
塩化ビニル樹脂を主成分とするサイディングです。
軽量で凍害や塩害に強く、色褪せしにくいという特徴があります。
シーリングを使わずに施工できるため、将来的なメンテナンス費用を抑えられます。
ただし、デザインのバリエーションが金属サイディングに比べて少ない傾向があります。
4.金属サイディングのデザインや塗料の品質による費用の違い
金属サイディングは、デザインや表面に施された塗料のグレードによっても価格が変動します。
塗料の種類
- ポリエステル塗料
単色仕上げで、最もコストを抑えられる標準的な塗料です。
工場での焼付塗装のため、現場で塗装するよりも色褪せしにくく、高いコストパフォーマンスを発揮します。 - フッ素塗料
耐候性が非常に高く、長期間にわたって色褪せや光沢の低下がほとんど見られない高性能な塗料です。
美観を長く保ちたい場合におすすめですが、価格は高めになります。 - 無機塗料(インクジェット)
インクジェット技術を用いて、木目調や石積調などの複雑なデザインをリアルに再現します。
多彩な表現が可能で、意匠性にこだわりたい場合に選ばれますが、最も高価なグレードです。
デザインや役物(部材)
- 形状(深絞り・スパン系)
表面の凹凸が深い「深絞り」や、スタイリッシュな「スパン系」のデザインは、使用する鋼板の量が多くなるため、フラットなデザインに比べて価格が高くなります。 - 役物(出隅・ジョイナー)
外壁の角に使う「出隅(でずみ)」や、サイディング同士をつなぐ「ジョイナー」などの部材を、立体感のあるデザイン性の高いものにすると追加費用がかかります。 - オプション
外壁内部の通気性を高める「通気役物」や、耐震性を向上させる「耐震補強金物」などを追加することで、機能性を高めることができますが、別途費用が必要です。
5.既存の外壁構造による費用の違い
カバー工法は、既存の外壁の種類によって施工の手間や必要な下地処理が異なるため、費用が変わります。
| 既存の外壁構造 | 費用 | 備考 |
| 木造 | 安い | 一般的な戸建て住宅。標準的な価格。 |
| 波型スレート(鉄骨) | 高い | 工場や倉庫など。特殊な下地金具が必要。 |
| ALC(鉄骨) | 高い | 鉄骨下地にサイディング用の下地を固定する必要がある。 |
| コンクリート | 高い | マンションなど。特別な下地処理が必要。 |
木造住宅が最も標準的な工事となります。
工場やマンションなどの鉄骨造やコンクリート造の建物は、専用の下地設置が必要になるため、木造に比べて1.2倍から1.4倍ほど費用が割高になります。
6.工事の依頼先による費用の違い
外壁カバー工法を誰に依頼するかは、費用と品質の両方に大きく影響します。
- 建築板金工事会社
金属サイディングや金属屋根を専門に扱う工事会社です。
専門の職人が在籍し、メーカーから直接材料を仕入れるため、中間マージンが発生せず適正価格での施工が期待できます。
専門知識が豊富で、最適な材料提案や高品質な施工が見込めます。 - リフォーム会社・工務店
様々なリフォームを手掛けていますが、実際のサイディング工事は下請けの板金工事会社に外注することがほとんどです。
そのため、中間マージンが上乗せされ、費用が割高になる傾向があります。 - 塗装会社
近年、塗装会社もカバー工法を請け負うケースが増えていますが、こちらも施工は下請けに依頼することが大半です。
専門的な知識や経験が不足している場合もあるため、依頼する際は実績をよく確認する必要があります。
費用を抑え、かつ質の高い工事を求めるなら、専門職人である「建築板金工」が在籍する建築板金工事会社に直接相談するのが最も賢明な選択と言えるでしょう。
7.外壁カバー工法の費用と見積書の見方
ここでは、具体的な見積書の一例を紹介します。
工事項目や単価を確認する際の参考にしてください。
見積書例①:窯業サイディング外壁のカバー工法(横張り)
| 項目 | 単価 | 面積/長さ | 金額(税抜) |
| 仮設工事 | |||
| 足場工事 | 750円/㎡ | 270㎡ | 202,500円 |
| 外壁工事 | |||
| 下地胴縁 | 1,100円/㎡ | 140㎡ | 154,000円 |
| 金属サイディング本体 | 7,500円/㎡ | 140㎡ | 1,050,000円 |
| 役物取り付け | 1,500円/㎡ | 140㎡ | 210,000円 |
| 付帯工事 | |||
| 破風板・鼻隠し塗装 | 1,000円/m | 26m | 26,000円 |
| 軒天塗装 | 30,000円 | 1式 | 30,000円 |
| 外壁付帯物脱着 | 400円/㎡ | 140㎡ | 56,000円 |
| 雨どい交換(軒樋・縦樋) | 135,600円 | ||
| 諸経費 | |||
| 搬入搬出費 | 30,000円 | 1式 | 30,000円 |
| 管理諸経費 | 5% | – | 100,605円 |
| 小計 | 2,094,705円 | ||
| 合計(税込) | 2,304,175円 |
見積書例②:窯業サイディング外壁のカバー工法(縦張り)
| 項目 | 単価 | 面積/長さ | 金額(税抜) |
| 仮設工事 | |||
| 足場工事 | 750円/㎡ | 190㎡ | 142,500円 |
| 外壁工事 | |||
| 下地胴縁 | 1,100円/㎡ | 120㎡ | 132,000円 |
| 縦張り金属サイディング本体 | 8,500円/㎡ | 120㎡ | 1,020,000円 |
| 役物取り付け | 1,500円/㎡ | 120㎡ | 180,000円 |
| 付帯工事 | |||
| 破風板・鼻隠し塗装 | 1,000円/m | 26m | 26,000円 |
| 軒天塗装 | 30,000円 | 1式 | 30,000円 |
| 外壁付帯物脱着 | 400円/㎡ | 120㎡ | 48,000円 |
| 雨どい交換(軒樋・縦樋) | 183,200円 | ||
| 諸経費 | |||
| 搬入搬出費 | 30,000円 | 1式 | 30,000円 |
| 管理諸経費 | 5% | – | 94,985円 |
| 小計 | 1,886,685円 | ||
| 合計(税込) | 2,075,353円 |
8.外壁カバー工法と合わせて検討したい工事
外壁カバー工法では必ず足場を設置します。
この足場を有効活用して、他のメンテナンスも同時に行うと、将来的なコストを大幅に節約できます。
- 屋根のリフォーム(カバー工法・葺き替え)
屋根も外壁と同じく劣化が進む場所です。
屋根工事にも足場が必要なため、同時に行うことで足場代を一度で済ませることができます。 - 雨どいの交換
カバー工法では一度雨どいを取り外します。
劣化が進んでいる場合は、この機会に新しいものへ交換するのが効率的です。 - 玄関ドアの交換
玄関ドアも一緒にリフォームすることで、住まい全体のデザイン性が高まります。
後からドアだけを交換すると、周りの外壁を剥がす必要が出てくるため、同時に行うのがおすすめです。
まとめ
外壁カバー工法は、初期費用は塗装よりも高額ですが、住まいの外観を一新し、断熱性などの機能も向上させられる優れたリフォームです。
長期的に見ればメンテナンスの手間や費用を抑えられるため、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。
大切なのは、ご自宅の状態を正確に診断し、最適な材料と工法を提案してくれる信頼できる専門業者に依頼することです。
福岡で外壁カバー工法をご検討なら、ぜひ私たちトラストホームにご相談ください。
トラストホームは、建物を知り尽くしたプロの提案力で、お客様の住まいに最適なプランをご提案します。
また、職人直営の自社施工により、中間マージンをカットした適正価格で高品質な工事をお届けします。
施工後も最長10年の品質保証で、お客様の住まいを末永くお守りします。
福岡の気候風土を熟知した地域密着の業者として、迅速かつ丁寧に対応いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。