屋根カバー工法の全て|費用相場から失敗しない業者選びまで徹底解説

2025.10.26更新

屋根カバー工法の全て|費用相場から失敗しない業者選びまで徹底解説
目 次

    屋根のリフォームを考え始めたとき、多くの方が「カバー工法」という言葉を耳にするかと思います。
    しかし、その具体的な内容や、塗装・葺き替えといった他の工法との違いを正確に理解している方は少ないかもしれません。

    この記事では、屋根カバー工法の基礎知識から、メリット・デメリット、適切な工事時期、費用相場、そして失敗しないための業者選びまで、専門家の視点から網羅的に解説します。
    あなたの大切な住まいを守るための、最適な選択の助けとなれば幸いです。


    1.屋根カバー工法とは?基本的な仕組みを理解する

    屋根カバー工法は、既存の屋根を撤去せず、その上から新しい防水シートと屋根材を被せるリフォーム手法です。
    重ね葺き(かさねぶき)」とも呼ばれます。
    古い屋根の解体や処分にかかる費用と時間を削減できるため、近年主流となっている工法の一つです。
    特に、現在多くの戸建て住宅で使われているスレート屋根(コロニアルやカラーベスト)の上に、軽量な金属屋根材を重ねるケースが一般的です。

    屋根カバー工法の目的は『二重の防水機能の刷新』

    カバー工法の最も重要な目的は、屋根が持つ防水機能を根本から新しくすることにあります。
    屋根は、表面の屋根材だけで雨漏りを防いでいるわけではありません。
    その下に敷かれている防水シート(ルーフィング)が、最終的な水の浸入を防ぐ砦となっています。
    カバー工法では、まず既存の屋根の上に新しい防水シートを隙間なく施工します。
    その上に新しい屋根材を設置することで、この「防水シート」と「屋根材」という二重の防水機能がどちらも新品に生まれ変わります。
    これにより、長期にわたって雨漏りの心配がない、安心できる屋根環境を取り戻すことができるのです。

    注意すべき類似工法『差し込み葺き』との違い

    最近、「カバー工法」と称して全く異なる工事を提案する業者がいるため注意が必要です。
    それは「差し込み葺き」と呼ばれる工法です。
    この工法は、古いスレート屋根の隙間に接着剤で金属板を差し込んでいくだけの簡易的なものです。
    新しい防水シートを施工しないため、屋根の根本的な防水性能は向上しません。
    あくまで見た目を一時的にきれいにするための応急処置に近いものであり、本来のカバー工法とは全くの別物です。
    工事内容を確認する際は、新しい防水シート(ルーフィング)を施工する工程が含まれているかを必ず確認してください。


    2.屋根カバー工法のメリット

    屋根カバー工法のメリット

    ①コストを抑えられる

    カバー工法の最大の魅力は、費用を大幅に節約できる点です。
    従来の葺き替え工事では、既存の屋根材をすべて撤去し、廃材を処分する費用や手間が発生します。
    一方、カバー工法は既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねるため、撤去や処分のコストが不要です。

    また、施工にかかる人件費や重機の使用も最小限で済むため、トータルコストを20〜30%ほど削減できるケースもあります。
    予算を抑えつつ、見た目と性能を一新できることから、コストパフォーマンスの高いリフォームとして人気です。

    工期が短い

    既存屋根の解体作業が不要なため、工事期間を大幅に短縮できるのもカバー工法の大きなメリットです。
    通常の葺き替え工事では、撤去や下地補修に数日〜1週間ほどかかりますが、カバー工法なら2〜4日程度で完了することも珍しくありません。

    工期が短い分、生活への影響も最小限で済みます。
    屋根の上での作業が中心のため、室内に入ることもほとんどなく、雨天時の中断リスクも比較的少ないのが特徴です。

    断熱性・遮音性の向上

    カバー工法では、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねることで、二重構造の屋根になります。
    その間にできる空気層が断熱材のような役割を果たし、外気の温度変化を緩和してくれます。
    これにより、夏は屋根からの熱の侵入を防ぎ、冬は室内の暖気を逃しにくくするなど、冷暖房効率の向上にもつながります。

    また、屋根材が二重になることで、雨音や風音が屋内に伝わりにくくなり、遮音性能も自然にアップします。
    「以前より静かになった」「雨の音が気にならなくなった」という声も多く、快適な住環境づくりに貢献します。

    ④アスベスト飛散のリスクがない

    1980年代以前に製造されたスレート屋根の中には、アスベスト(石綿)を含むものがあります。
    葺き替え工事では、既存の屋根材を撤去する際にアスベストの粉じんが飛散する危険
    があるため、専門業者による厳重な管理や高額な処理費用が必要です。

    一方、カバー工法では既存の屋根材を撤去せず、上から新しい屋根で覆う「封じ込め」施工を行うため、アスベストが外に漏れ出す心配がありません。
    この方法なら、安全かつ環境に配慮しながら費用を抑えてリフォームできるという大きなメリットがあります。

    外壁・屋根の状態、ご予算に応じた
    適切な工事をご提案いたします。
    福岡で外装についてお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。
    フリーダイヤル:0120-52-1124 年中無休(9:00-19:00)
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    3.屋根カバー工法のデメリットと注意点

    一方で、カバー工法にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。

    屋根の重量が増加する

    新しい屋根材の重さが加わるため、建物の耐震性にわずかな影響を与える可能性があります。
    そのため、軽量な金属屋根材を使用するのが一般的です。

    ②下地の根本的な補修はできない

    屋根の下地である野地板がすでに腐食している場合、カバー工法ではその問題を解決できません。
    下地の状態が悪い場合は、葺き替え工事が必要となります。

    ③施工できるのは一度だけ

    カバー工法を施工した屋根を再度リフォームする場合は、二重になった屋根を全て撤去する必要があるため、葺き替え工事となります。

    ④全ての屋根に施工できるわけではない

    屋根の種類や劣化状況によっては、カバー工法が適用できない場合があります。


    4.カバー工法が「できない」屋根

    全ての屋根でカバー工法が選択できるわけではありません。
    以下のようなケースでは施工が困難、あるいは不可能です。

    瓦屋根(和瓦・洋瓦など)

    傷んだ瓦屋根

    瓦屋根は、一枚一枚が厚く重たい構造をしており、屋根全体の重量が非常に大きいのが特徴です。
    この上からさらに新しい屋根材を重ねてしまうと、建物の構造体(柱・梁など)に過度な負担がかかり、耐震性を損なうおそれがあります。

    また、瓦屋根は表面が波打っており、平らな屋根材をきれいに密着させることができないため、施工の精度を確保するのも難しくなります。

    劣化が著しい金属屋根(トタン屋根など)

    傷んだトタン屋根

    古い金属屋根、特にトタン屋根などでは、表面のサビだけでなく、屋根材の下にある野地板(下地)まで腐食が進んでいるケースが少なくありません。
    こうした状態の屋根にカバー工法を行うと、新しい屋根材を固定するための釘やビスが効かず、強風で飛散する危険性があります。

    さらに、下地の損傷を放置したまま屋根を重ねると、内部で湿気がこもりやすく、腐食が進行する可能性もあります。
    そのため、劣化が進んでいる金属屋根は、一度撤去して下地を補修したうえで葺き替える方法が安全かつ確実です。

    下地まで傷んでいるスレート屋根

    傷んだスレート屋根

    スレート屋根は軽量で施工しやすいことから多くの住宅で採用されていますが、築40年以上が経過した屋根や、雨漏りを起こしている屋根では注意が必要です。
    見た目が比較的きれいでも、内部の野地板が腐食や湿気によって強度を失っている場合があります。

    このような状態でカバー工法を行うと、新しい屋根材を支える基盤が不十分なため、耐久性や防水性が大きく低下してしまいます。
    したがって、下地の損傷が確認された場合は、下地の張り替えを含めた葺き替え工事を選択することが推奨されます。


    4.最適な工事時期はいつ?築年数から考える

    屋根カバー工法を検討する最適なタイミングは、お住まいの築年数によって異なります。

    築10年未満

    築10年未満の屋根

    基本的にまだ早すぎる時期です。
    ただし、台風が多い地域や、新築時の施工に問題がありすでに屋根材の剥がれなどが見られる場合は、例外的に検討の価値があります。

    築10年~20年

    カバー工法を実施するのに最もおすすめのタイミングです。
    特に2000年代前半に建てられた住宅のスレート屋根は、アスベストを含まない代わりに耐久性が低い製品が多く、ひび割れなどの不具合が出やすい傾向にあります。
    塗装では根本的な解決にならないため、この時期のカバー工法は非常に有効です。

    築20年~40年

    カバー工法の適正時期と言えます。ただし、築30年を超えると下地の劣化が進んでいる可能性が高まります。
    その場合は、下地を補強する「野地板増し張り」という追加工事が必要になったり、葺き替えを提案されたりすることもあります。
    劣化が深刻化する前に検討するのが賢明です。

    築40年以上

    建物の耐震基準が現在と異なる可能性や、下地の劣化がかなり高い確率で進行しているため、原則としてカバー工法は推奨されません。
    安全性を最優先し、屋根を一度すべて撤去する葺き替え工事が適切な選択となります。


    5.カバー工法と葺き替えの費用相場

    一般的な30坪(屋根面積80㎡程度)の戸建て住宅を想定した費用目安です。

    工事の種類費用目安
    屋根カバー工法約90万円~140万円
    屋根カバー工法(野地板増し張り)約110万円~160万円
    葺き替え工事(アスベスト無し)約140万円~200万円
    葺き替え工事(アスベスト有り)約160万円~220万円

    ※上記はあくまで目安です。使用する屋根材のグレード、屋根の形状、お住まいの立地条件によって費用は変動します。


    6.失敗しない業者選びのポイント

    屋根カバー工法の品質は、業者の技術力と知識に大きく左右されます。
    ここでは、後悔しない業者選びのチェックポイントを、私たちトラストホームが日頃から大切にしていることと合わせてご紹介します。

    ポイント①:専門技術を持つ『職人直営』の会社か

    カバー工法で主に使われる金属屋根材の施工は、専門的な板金工事の技術を要します。
    屋根と金属の特性を熟知した、経験豊富な職人がいる会社に相談することが成功の鍵です。
    私たちトラストホームも、熟練の自社職人が現地調査から施工、管理までを一貫して行う職人直営の会社です
    下請け業者に丸投げしないことで、技術レベルを高く保ち、責任を持ってお客様の大切な屋根を確かな品質で仕上げます。

    ポイント②:内訳が明確な『適正価格』の見積書か

    「工事一式」といった大雑把な見積もりではなく、「防水シート」「屋根材」「役物板金」「足場代」など、項目ごとに単価や数量が明記された詳細な見積書を提出する業者を選びましょう。
    なぜその工事が必要で、なぜこの価格になるのかを、プロの視点から丁寧に説明できるのが良い業者の証です。
    トラストホームでは、不要な中間マージンを徹底的にカットした適正価格で、内訳の明確な見積書をご提示することをお約束します

    ポイント③:地域での『施工実績』が豊富か

    会社のウェブサイトなどで、自分と似た条件の住宅でのカバー工法の施工事例が豊富にあるかを確認しましょう。
    特に、地元の業者の実績は、その地域の気候や特性を理解している証でもあります。
    例えばトラストホームは、福岡市東区を中心に、福岡県全域で年間100件以上の施工実績がございます
    地域密着だからこそできる、迅速できめ細やかな対応にも自信があります。

    ポイント④:『長期的な保証制度』が整っているか

    工事後の保証内容やアフターフォロー体制が整っているかも、信頼できる業者を見極める重要なポイントです。
    どんなに良い工事をしても、万が一の不具合が起こる可能性はゼロではありません。
    トラストホームでは、最長10年の品質保証制度を設け、施工が完了した後もお客様の屋根を末永くお守りする体制を整えています


    7.屋根カバー工法に関するよくあるご質問

    『カバー工法とスレート屋根への葺き替え、価格はあまり変わらないって本当ですか?』

    いいえ、適切な工事内容で比較した場合、カバー工法の方が費用を抑えられます。
    葺き替え工事には、カバー工法にはない下記の費用が必ず発生します。
    ①既存の屋根材を撤去する手間賃
    ②撤去した屋根材の処分費用
    ③下地(野地板)を新しく張る材料費と手間賃

    特に、②の処分費用は近年ますます高騰しています。
    また、重要な点として、屋根材メーカーはスレート屋根の葺き替え時に③の野地板を新しくすることを必須としています。
    もし野地板を新しくしない安価な葺き替え工事を提案された場合、それはメーカーの規定に反した不適切な工事の可能性があるのでご注意ください。
    弊社では、長期的な安心をお届けできる、ルールに則った工事のみをご提案いたします。

    「パミール」という屋根材なのですが、カバー工法はできますか?

    はい、問題なく施工可能です。
    パミールは、過去に製造されていたアスベストを含まないスレート屋根の一種です。
    素材の特性上、屋根材の先端(小口)から雨水を吸いやすく、層状に剥がれたり、大きく反り返ったりする症状が出やすいことで知られています。

    カバー工法を行うと、パミール自体が雨に濡れることがなくなるため、これらの劣化症状の進行を根本的に止めることができます。
    劣化が激しく、屋根材がボロボロになっている場合でも、粘着力の強い特殊な防水シートで屋根全体を一体化させてから施工するなど、最適な方法で対応しますのでご安心ください。

    できるだけ安くカバー工法をしたい場合、どんな屋根材がありますか?

    ご予算を最優先される場合、アスファルトシングルという屋根材が選択肢になります。
    アスファルトシングルは、シート状のアスファルトに石粒を吹き付けた、柔軟性のある屋根材です。
    金属屋根に比べて材料費が安価なため、工事全体の費用を抑えることができます。

    ただし、耐久性や美観の持続性においては金属屋根に分があるため、長期的な視点も踏まえてご検討いただくのがおすすめです。
    お客様のご予算とご希望に合わせて、最適な材料をご提案させていただきます。

    カバー工法で使う金属屋根は、将来また塗装が必要になりますか?

    これは何を基準に考えるかによって答えが変わります。
    もし「色あせ」を気にされるのであれば、塗装は不要です。色あせは屋根の防水機能には直接影響しない、見た目の問題だからです。

    一方で、「錆の発生を防ぐ」という機能面を重視するなら、塗装は有効なメンテナンスです。
    多くのメーカーは、塗膜の種類に応じて10年~25年後の再塗装を推奨しています。
    ちなみに、最近は表面に天然石の粒をコーティングした石粒付き鋼板屋根という屋根材も人気です。
    この屋根材は、塗装の色あせという概念がなく、長期にわたって美観を維持できるのが大きな魅力です。

    金属屋根にすると、雨音がうるさくなりませんか?

    ご安心ください。
    適切な屋根材を選べば、雨音の問題はほとんどありません。
    現在主流となっている金属屋根材は、裏側に断熱材が一体化しているものが多く、この断熱材が高い遮音性を発揮します。
    また、先ほどご紹介した石粒付き鋼板屋根も、表面の石粒が雨音を吸収・拡散させるため、非常に静かです。

    弊社がこれまで福岡で手がけてきた数多くの工事で、雨音に関するご指摘をいただいたことは一度もございません。
    一部、断熱材の付いていない安価な金属屋根(縦葺きなど)の場合は、雨音が響くことがありますので、屋根材選びの際には遮音性も重要なポイントとしてご説明しています。


    まとめ

    屋根カバー工法は、多くの住宅にとって費用対効果の高い優れたリフォーム方法です。
    しかし、そのメリットを最大限に引き出すためには、自宅の屋根の状態を正しく把握し、適切なタイミングで、信頼できる専門業者に依頼することが不可欠です。
    この記事を参考に、あなたの住まいに最適な屋根リフォーム計画を立ててください。

    福岡エリアで屋根の状態にご不安があれば、ぜひ一度トラストホームにご相談ください。
    専門家が無料で診断し、最適なご提案をさせていただきます