セメント瓦の塗装はいつ必要?|劣化症状から費用相場、塗料選びまで徹底解説
セメント瓦の塗装は、
「まだ大丈夫そうだけど、いつやるのが正解なのか分からない」
「業者によって言うことが違って不安」
というご相談がとても多い部分です。
この記事では、セメント瓦の塗装について分かりやすく徹底解説していきます。
「うちの屋根は本当に今塗装が必要なのか?」
という判断材料として、じっくり読んでいただければ嬉しいです。
1章 セメント瓦とは?まずは屋根材の正体を知ろう
まず最初に、「自分の家の屋根が本当にセメント瓦なのか?」を整理しておきましょう。
セメント瓦は、その名の通りセメント(ポルトランドセメント)に砂などを混ぜて成形した屋根材です。
・製造時に塗装して色を付けている
・和風の瓦より少しシャープな形状も多い
・モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)も近い仲間
昔から「瓦屋根=陶器瓦」のイメージが強いのですが、実際にはセメント瓦・モニエル瓦もかなり多く使われています。
見た目の特徴としては
・横長で、表面が少しザラッとしている
・色はグレー・ブラウン・グリーンなど様々
・陶器瓦のような“テカテカ感”が少ない
・屋根全体を離れて見ると「塗装された瓦」という印象
という点が挙げられます。
大事なポイントは「セメント瓦は表面の“塗膜”が命」だということです。
陶器瓦のように表面が焼き付けガラス質で守られているわけではなく、塗装の防水性が落ちると、セメント自体が水を吸い込み劣化しやすい屋根材になります。
だからこそ、
「塗装が必要かどうか」
「いつ塗装すべきか」
という視点がとても重要になってきます。
2章 なぜセメント瓦に塗装が必要なのか?
よくある誤解で
「瓦だから塗装はいらないんじゃないの?」
というご質問があります。
これは「陶器瓦ならほぼ正解、セメント瓦だと不正解」というイメージです。
陶器瓦は
・粘土を高温で焼き固めたガラス質の表面
・経年で色あせはしても、防水性は長期間維持
という特徴があるため、基本的に塗装は不要です。
一方で、セメント瓦は
・セメント自体は水を吸いやすい
・表面を塗装(塗膜)で防水している
・塗膜が劣化するとセメントがむき出しになる
という構造のため、
「塗膜の寿命 = 屋根の寿命に直結する」
と言っても過言ではありません。
塗装を行う意味は主に3つです。
- 防水性を回復させる
→ 雨水が瓦内部にしみ込まないようにする - 瓦の劣化(中性化・ひび割れ)を抑える
→ セメントそのものを長持ちさせる - 美観の改善
→ 色あせた屋根を塗り替え、新築のような印象に戻す
塗装を行わずに放置すると
・セメント瓦が水を吸う → 冬場に凍る → 微細なひび割れ
・表面のざらつきが増し、コケ・カビが繁殖
・ひび割れから雨水が浸入し、下地材の劣化
・最終的には葺き替え(屋根交換)が必要
という流れになってしまいます。
つまり、「まだ雨漏りしていないから大丈夫」ではなく、雨漏りする前の“予防メンテナンス”として塗装が必要になる屋根材なのです。
3章 セメント瓦の劣化症状チェック|塗装サインはここを見る
では、どのような症状が出てきたら「塗装を検討した方がいいサイン」なのかをご説明します。
ご自宅の屋根を見上げながらチェックしてみてください。
●色あせ・ツヤがなくなってきた
一番初期の劣化サインが「退色」です。
・新築時より明らかに色が薄くなっている
・ツヤがなく、くすんだ印象
・南面だけ色が抜けている
これは表面の塗膜が紫外線や雨で少しずつ分解されている状態です。
この段階ではまだ緊急性は低いですが、ここから時間が経つほど「防水性の低下」が加速していきます。
●コケ・カビ・藻の発生
次の段階が「コケ・カビ・藻」です。
・屋根の北面や日陰部分に緑色のコケ
・黒い点々や筋状のカビ
・瓦の重なり部分にモサモサした藻
これらは「屋根が水分を含みやすい状態になっている」サインです。
セメント瓦は元々ざらついた表面をしているので、一度コケが根付くと、どんどん広がっていきます。
放置すると
・見た目が悪くなる
・水分を余計に抱え込み、劣化スピードがアップ
・凍害(凍って割れる)のリスク増大
といった問題につながります。
●塗膜の剥がれ・素地が見える
・表面の塗装がポロポロとはがれている
・“地の色”(グレーっぽい素地)が見えている
・部分的にまだら模様になっている
これはかなり進行した劣化状態です。
すでに「セメント瓦が直接、雨・紫外線にさらされている状態」と言えます。
この段階になると、「早めの塗装」が必須になってきます。
●ひび割れ・カケ・欠損
・瓦の端が欠けている
・表面に線状のひびが入っている
・瓦の一部が割れて落ちている
ここまで来ると「劣化がかなり進行した状態」です。
ひび割れから水が入り、内部の劣化、最悪の場合は雨漏りにもつながります。
部分的な補修で対応できるケースもありますが、ひび割れが多発している場合は「塗装より葺き替えや重ね張り(カバー工法)を検討した方が良い」という判断になることもあります。
●瓦の反り・歪み
・瓦が少し浮いている
・段差が目立ってきている
・雨が流れにくそうな形状になっている
これは「セメント瓦自体が劣化・変形してきているサイン」です。
強風時に瓦が飛びやすくなる危険性もあり、状態によっては塗装ではカバーしきれないこともあります。
4章 セメント瓦の塗装はいつがベストタイミング?
「何年たったら塗装が必要ですか?」
というご質問もよくいただきます。
目安としては、以下のように考えていただくと分かりやすいです。
●年数の目安
一般的なセメント瓦の場合
・新築から初回の塗装目安:約 10〜15年
・2回目以降の塗装周期:約 10〜12年(選ぶ塗料により前後)
となります。
ただし、これはあくまで「平均的な目安」です。
実際のところは
・日当たり(紫外線量)
・降雨量
・海からの距離(塩害)
・風の通り方
・北面・南面の違い
などによって大きく変わります。
●症状をベースにした判断
年数だけでなく、「劣化の症状」で判断するのがより確実です。
特に
・色あせ+コケが目立つ
・塗膜が所々剥がれている
・素地が露出している
この段階に入ったら「塗装を前向きに検討すべきタイミング」と考えて問題ありません。
また、
・ひび割れが複数
・欠けが目立つ
・瓦の反りが多い
といった状態があれば、塗装だけで済ませて良いか、一度専門家の現地調査を受けることをおすすめします。
5章 セメント瓦の塗装に使う塗料の選び方
「屋根塗装」と一口に言っても、塗料にはグレードがあります。
代表的なものと、セメント瓦との相性・おすすめ度を整理してみます。
●塗料グレードと耐久年数
屋根用の代表的な塗料グレードは以下の通りです。
・ウレタン系(近年はあまり使われない)
・シリコン系
・ラジカル制御型
・フッ素系
・無機系
・遮熱型(上のグレードに遮熱機能が付いたもの)
おおよその耐久年数イメージは
・ウレタン : 6〜8年
・シリコン : 8〜12年
・ラジカル : 10〜13年
・フッ素 : 13〜18年
・無機 : 18〜22年
・遮熱フッ素等: 15〜20年
となります(環境や施工品質により変動)。
セメント瓦のように
「塗膜が切れると一気に劣化が進みやすい屋根材」
には、できるだけ耐久性の高い塗料を選ぶのがおすすめです。
●セメント瓦におすすめの塗料
おすすめ度でいうと、
・本命 :フッ素系、無機系、遮熱フッ素系
・バランス系:ラジカル制御型
・コスト重視:シリコン系
というイメージになります。
屋根は外壁よりも紫外線を多く浴び、温度も高くなりやすい箇所です。
そのため、「外壁はシリコン、屋根はフッ素や無機」といったように、屋根だけワンランク上の塗料を選ばれる方も多いです。
●下塗り(プライマー)の重要性
セメント瓦の塗装では、実は「上塗り塗料のグレード」と同じくらい「下塗り材の選定」が重要です。
・セメント瓦の表面が粉っぽい状態
・素地が露出している
・水を吸い込みやすい状態
このような屋根に、いきなり上塗りだけを塗っても密着しません。
そのため、
・浸透性の高いシーラー
・セメント瓦専用の下塗り材
・吸い込みを抑え、上塗りがきちんと乗るタイプ
を選んでいく必要があります。
モニエル瓦など一部の乾式コンクリート瓦では「スラリー層」と呼ばれる不安定な層があり、この処理を間違えると数年で剥がれます。
セメント瓦塗装に慣れている業者ほど、
・ケレン
・高圧洗浄
・スラリー除去
・適切な下塗り選定
を徹底してくれます。
塗料の名前だけでなく「下塗り材は何を使うか」まで確認しておけると安心です。
6章 セメント瓦塗装の費用相場と、金額が変わるポイント
次に、気になる費用相場について整理しておきます。
●一般的な費用イメージ
30坪前後の一般的な住宅で、セメント瓦屋根の塗装を行う場合の目安としては
・シリコン系 : 40万〜60万円前後
・ラジカル系 : 45万〜65万円前後
・フッ素系 : 50万〜75万円前後
・無機系 : 60万〜85万円前後
・遮熱フッ素など : 55万〜80万円前後
といったレンジが一つの目安になります。
(足場代込みかどうか、外壁とセットかどうかで大きく変動します)
●価格が変わる要素
同じような家でも見積もりに差が出るのは、以下のような条件が影響します。
・屋根の面積
・勾配(急な屋根ほど足場・手間が増える)
・劣化具合(補修が多ければコストアップ)
・選ぶ塗料のグレード
・足場を外壁と共用するかどうか
・下地処理にかかる手間(スラリー層除去など)
費用だけを見るよりも「どんな工事内容が含まれているか」をセットで確認することが大切です。
7章 セメント瓦塗装の工事の流れ
実際に工事を依頼した場合、どのような流れで進んでいくのかも簡単にイメージしておきましょう。
- 現地調査・屋根診断
→ 瓦の種類・劣化状況・割れの有無などを確認 - 見積もり・ご提案
→ 塗料グレード別にプラン提示
→ 必要であれば補修やカバー工法の相談も - ご契約・工期調整
→ 天候なども加味して日程を決定 - 足場組み・養生
→ 安全確保と、近隣や建物を守るための養生 - 高圧洗浄
→ コケ・カビ・旧塗膜・汚れをしっかり落とす - 下地処理
→ ひび割れ補修・欠けの補修・スラリー層除去 など - 下塗り(シーラー・プライマー)
→ セメント瓦と上塗りを密着させる大切な工程 - 中塗り・上塗り
→ 選んだ塗料で、規定の塗布量・回数を守って施工 - 最終確認・手直し
→ 塗り残し・ムラがないかチェック - 足場解体・お引き渡し
屋根のみであれば、天候にもよりますが概ね 4~7日ほどで完了することが多いです(外壁と同時施工の場合はもう少し日数がかかります)。
8章 セメント瓦塗装に関するQ&A
最後に、お客様からよくいただくご質問をQ&A形式でまとめておきます。
Q1. セメント瓦の寿命はどれくらいですか?
A. 適切に塗装・補修を繰り返していれば、おおよそ30〜40年ほど使用できるケースが多いです。
ただし、ひび割れ・反り・欠けが多くなってくると、塗装よりも葺き替えやカバー工法を検討した方が良い場合もあります。
Q2. セメント瓦の塗装と、スレート屋根の塗装は何が違いますか?
A. どちらも塗装が必要な屋根材ですが、セメント瓦は形状が複雑で、表面の状態(スラリー層など)によって
下地処理の方法や下塗り材の選定が変わります。セメント瓦・モニエル瓦の施工経験が豊富な業者を選ぶことが大切です。
Q3. 塗装しないとどうなりますか?
A. 塗膜が切れた状態で放置すると、セメントが水を吸って劣化し、
・ひび割れ
・欠け
・反り
・雨漏り
などにつながります。結果的に「屋根の張替え」という大きな工事が必要になる可能性が高くなります。
Q4. 遮熱塗料は本当に効果がありますか?
A. 適切な遮熱塗料を選び、規定通りの塗布量で施工すれば、屋根表面温度で10〜20℃ほど下げられるケースもあります。室内の体感温度にも多少影響があるため、夏場の暑さが気になるご家庭にはおすすめです。
Q5. セメント瓦が割れている場合、塗装で隠れますか?
A. いいえ。割れている部分は塗装では直せません。塗装前に割れた瓦を交換したり、補修した上で塗装を行います。割れが多い場合は、塗装では対応しきれないこともあります。
Q6. 雨漏りしている場合も塗装で止まりますか?
A. 雨漏りの原因が「表面だけ」の場合は、防水性能の向上で改善するケースもありますが、
多くの場合、
・瓦の割れ
・ルーフィング(防水シート)の劣化
・板金まわりの不良
といった要因が絡みます。雨漏りがある場合は、まず原因調査と適切な補修が必要です。
Q7. 冬場でも屋根塗装はできますか?
A. 基本的には気温5℃以上・湿度85%以下が目安です。それを満たしていれば冬場でも施工可能ですが、
乾燥時間の管理がより重要になります。
Q8. 塗装と葺き替え(カバー工法)、どちらがいいか迷っています…
A. 瓦の劣化状態・ご予算・今後の居住年数などによって変わります。
・瓦に大きな反り・割れが少なく、下地の状態も良好 → 塗装で延命
・劣化が激しく、何度も塗装してきた → カバー工法や葺き替えも検討
というケースが一般的です。
一度現地調査を受けて、メリット・デメリットを比較してみるのがおすすめです。
Q9. どんな塗料を選べばいいか分かりません…
A. 大まかな考え方としては、
・長く住む予定がある → フッ素・無機など高耐久
・コスパ重視、10年くらいでまた塗り替えてもOK → ラジカル・シリコン
・夏の暑さが特に気になる → 遮熱機能付き
といった選び方がおすすめです。屋根診断を踏まえて、予算と希望耐用年数のバランスを見ながら決めていくのがベストです。
Q10. セメント瓦の塗装は、どの業者に頼んでも同じですか?
A. いいえ。
特にセメント瓦・モニエル瓦は、下地処理や下塗り材の選定を間違えると「数年で剥がれる」ことがあります。「セメント瓦の施工実績」や「使用する下塗り材・工法の説明」がしっかりしている業者を選ぶことが大切です。
まとめ :セメント瓦の塗装は「早めの一手」が一番の節約になる
ここまで、
・セメント瓦とはどんな屋根材か
・塗装が必要な理由
・劣化症状のチェックポイント
・塗装のタイミング
・塗料の選び方
・費用相場
・工事の流れ・Q&A
まで、一通りご紹介してきました。
セメント瓦は、「塗装すればまだまだ使える」一方で「放置すると一気に寿命が縮まる」という、少しシビアな側面を持った屋根材です。
だからこそ、
・色あせやコケの段階で動く
・塗装と同時にコーキングや補修も行う
・屋根の状態に合わせた塗料と工法を選ぶ
この3つを意識するだけで、屋根の寿命は大きく変わってきます。
「うちは今、塗装した方がいいのか?」
「塗装とカバー工法、どちらが合っているのか?」
と迷われたときは、年数だけで判断せず、実際の屋根の状態をしっかり診てもらうことが何より大切です。
福岡で外装リフォームをご検討の際は、私たちトラストホームにご相談ください。
トラストホームでは、建物を知り尽くしたプロとして、お客様が納得できるまで分かりやすくご説明し、詳細で透明性の高いお見積書をご提出します。
職人直営の自社施工により中間マージンをカットし、適正価格で高品質な工事を実現。
最長10年の品質保証で、施工後も末永くお客様のお住まいをお守りします。
福岡の気候風土を熟知したスタッフが、迅速かつ丁寧に対応いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。