モニエル瓦の塗装とは?|失敗しないために知っておきたいポイントを解説
「うちの屋根は普通の瓦じゃないと言われた」
「モニエル瓦は塗装に注意が必要と言われたけれど、何が違うの?」
そんなお悩みをお持ちの方へ、ここでは モニエル瓦の特徴と、塗装時に必ず押さえておきたいポイント を分かりやすくご紹介します。
1. モニエル瓦ってどんな屋根?
モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)は、セメントや砂を型に入れて成形し、表面に着色した屋根材 です。洋風のデザインが多く、
・波型のかわいい形
・重厚感のあるシルエット
が特徴で、昭和〜平成初期に建てられた住宅で多く使われています。見た目は陶器瓦に少し似ていますが、中身はまったく別物です。
- 陶器瓦:粘土を焼き上げた「焼き物」
- モニエル瓦:セメントを固め、表面に「スラリー層+塗装」を施したもの
モニエル瓦の一番のポイントは「スラリー層」と呼ばれる表面の層があること。このスラリー層が、塗装ではとても重要なポイントになります。
2. なぜモニエル瓦の塗装は注意が必要なの?
モニエル瓦の表面には、
- 着色スラリー層(セメントの着色層)
- その上から工場で塗装された塗膜
といった複数の層が重なっています。この スラリー層は「脆くて劣化しやすい層」 で、ここをきちんと処理しないまま塗装すると…
- 数年で塗膜がべろっと剥がれる
- 表面だけきれいでも、中がボロボロ
- 「塗って数年でやり直し」という悲しい結果
になってしまうことが少なくありません。つまり、モニエル瓦は「普通のスレート屋根と同じ感覚で塗ってはいけない屋根材」と言えます。専用の下地処理と下塗り材 を使わないと、長持ちする塗装にはならないのです。
3. モニエル瓦の劣化症状チェック
「そろそろ塗装した方がいい?」を見極めるポイント
ご自宅の屋根がモニエル瓦の場合、次のような症状が出てきたら塗装の検討タイミングです。
① 色あせ・ツヤがない
新築時よりも屋根の色が薄くなり、マットで白っぽく見えてきている状態です。表面の塗膜とスラリー層が劣化してきているサインです。
② 表面がザラザラ・粉っぽい
瓦を触ると白っぽい粉が付いたり、ザラザラしている場合は、スラリー層・塗膜がかなり劣化している状態です。
③ コケ・カビ・藻の発生
北側や日陰部分にコケや黒いカビが付いていませんか?水はけが悪くなっており、瓦自体が水分を含みやすい状態になっています。
④ ひび割れ・欠け
- 表面に細かなひび
- 瓦の角が欠けている
- 割れている瓦が見つかる
これは防水性の低下だけでなく、台風時などに飛散する危険もあるため要注意です。
⑤ 雨が染みたような斑(むら)
部分的に濡れ色のままになっている場合、瓦が水を吸い込んでいる状態で、防水機能がほとんど残っていない可能性があります。
4. モニエル瓦の塗装はいつするべき?
目安としては、
- 新築から 10〜15年 で最初の塗装
- 2回目以降は塗料のグレードにより 10〜15年ごと
が一つの目安になります。ただし、実際には
- 日当たり(紫外線の強さ)
- 雨風の当たり方
- 海に近いかどうか(塩害)
などによって劣化のスピードが変わります。「年数」より「症状」で判断することが大切 です。
5. モニエル瓦塗装で絶対に欠かせないポイント
モニエル瓦の塗装を成功させるために、特に重要なポイントをまとめます。
ポイント① スラリー層をしっかり除去する
モニエル瓦特有の「スラリー層」がきちんと取れていないと、その上に乗せた塗料が まるごと剥がれてしまいます。
- 高圧洗浄で念入りに洗い流す
- 必要に応じてケレン(研磨)で落とす
- 旧塗膜の浮きや脆い部分も除去
この 下地処理にどこまで手間をかけるかで、持ちが大きく変わります。
ポイント② モニエル瓦対応の下塗り材を使う
スラリー層を完全に取ることが難しい場合も多いため、
- スラリー層に対応した専用シーラー
- 吸い込みを抑え、密着性を高める下塗り材
を使用する必要があります。
「屋根用なら何でもOK」というわけではありません。モニエル瓦の施工経験がある業者ほど、“どの下塗り材を使うか” をしっかり説明してくれます。
ポイント③ 規定の塗布量・乾燥時間を守る
どんなに良い塗料を選んでも、
- 薄く塗りすぎる
- 乾燥時間が短すぎる
- 気温・湿度の条件を無視して塗る
と、本来の性能は発揮できません。特にモニエル瓦は吸い込みが激しいため、「塗ったのに膜厚が確保できていない」 という失敗が起きやすい屋根です。
6. モニエル瓦におすすめの塗料グレード
屋根は外壁よりも厳しい環境にあるため、少しグレードの高い塗料を検討される方が多いです。
一般的な屋根塗料のグレードと耐久イメージは…
- シリコン塗料 :8〜12年
- ラジカル制御 :10〜13年
- フッ素塗料 :13〜18年
- 無機塗料 :18〜22年
※気候・下地・施工品質で前後します。
モニエル瓦の場合は、
- コストを抑えつつ、ある程度耐久性も欲しい → シリコン・ラジカル
- 塗り替え回数を減らしてトータルコストを抑えたい → フッ素・無機
というイメージでご提案しやすくなります。特に 屋根だけフッ素や無機にして長持ちさせる という方も増えています。
7. モニエル瓦塗装の施工の流れ
実際の工事の流れを簡単にご紹介します。
- 現地調査・屋根診断
→ モニエル瓦かどうかの確認
→ 劣化状況・割れ・ズレなどのチェック - 足場組み立て・メッシュシート設置
→ 安全確保・近隣への配慮のため - 高圧洗浄
→ 旧塗膜やスラリー層、コケ・汚れを丁寧に洗い流します。 - 下地補修
→ ひび割れ・欠け・ズレの補修
→ 必要に応じて瓦の差し替え - 下塗り(シーラー・プライマー)
→ モニエル瓦対応の下塗り材をたっぷりと塗布します。 - 中塗り・上塗り
→ 選んだ屋根用塗料で2回塗装し、膜厚と耐久性を確保します。 - 最終チェック・足場解体
→ 塗り残し・ムラ・不具合がないか最終確認して完了です。
8. モニエル瓦塗装の費用イメージ
屋根の形状・面積・劣化具合・使用する塗料によって変わりますが、30坪前後の一般的な住宅の場合で、
- シリコン系:40〜60万円前後
- ラジカル系:45〜65万円前後
- フッ素系 :55〜80万円前後
がひとつの目安です(足場・付帯工事などの内容によって増減)。
外壁塗装と同時に行うことで、足場代を1回分に抑えられるため、屋根だけ後回しにするよりもトータルではお得になるケースが多いです。
9. モニエル瓦塗装に関するよくあるご質問
Q1. モニエル瓦って塗装しないとダメですか?
A. はい、基本的には定期的な塗装が必要な屋根材です。表面の塗膜とスラリー層が劣化すると、瓦自体が水を吸い込みやすくなり、ひび割れや欠けの原因になります。
Q2. 普通の屋根用塗料で塗っても大丈夫ですか?
A. 塗料そのものよりも「下地処理」と「下塗り材」が重要です。モニエル瓦に適した施工方法・材料を選ばないと、数年で剥がれてしまう可能性があります。
Q3. 自分の屋根がモニエル瓦かどうか分かりません…
A. 形状・刻印・表面の質感などで判別できますが、一般の方には分かりづらいことも多いです。屋根診断の際に、瓦の種類も含めてしっかりご説明いたします。
Q4. すでに前回の塗装が剥がれてきています。塗り直せますか?
A. 状態によりますが、
- 旧塗膜・スラリー層の除去
- 下地補修
をきちんと行うことで塗り直し可能なケースも多いです。ただし、瓦自体の劣化が激しい場合は、カバー工法や葺き替えも含めて検討が必要です。
Q5. どれくらいの頻度で点検すればいいですか?
A. 目安として 5年に1回程度 の点検がおすすめです。異変があれば早めに補修・塗装をすることで、大きな工事を防ぎやすくなります。
10. まとめ
モニエル瓦は「正しい塗装」をすれば、まだまだ長く使える屋根です
モニエル瓦は
- デザイン性が高く
- 重厚感のある人気の屋根材
ですが、その一方で 「普通の屋根と同じ感覚で塗装すると失敗しやすい」 という特徴も持っています。
だからこそ、
- モニエル瓦かどうかをきちんと見極めること
- スラリー層を意識した下地処理を行うこと
- 専用の下塗り材・適切な塗料を選ぶこと
がとても大切です。
モニエル瓦の塗装は、単に「色を塗り替える工事」ではなく、屋根そのものの寿命を延ばし、これから先も安心して住み続けるための大事なメンテナンス です。
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